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『アクロイド殺し』 アガサ・クリスティー

数日前のBS放送で、案内役を女優の寺島しのぶが務め、『アガサ・クリスティーを探して〜ミステリーの舞台裏への招待状〜』をやっていた。アガサの大フアンである寺島が、イギリスの生家を訪れ、アガサの研究家たちにインタビューし、アガサへの思い語るという番組であった。→
本作は著者の10作目の長編で、この作品を機にアガサは有名作家となったという。本書が出版された当時、トリックがフェアかアンフェアかで論争が巻き起ったというが、一体どっちに分があるのだろう。

村の資産家ロジャー・アクロイドが、自室で背後から短剣の一突きで殺された。
アクロイドは、亡くなった年上の妻の連れ子ラルフ・ペイトン、弟の妻で未亡人となったセシル・アクロイド、その娘フロラと一緒に暮らしていた。
そのほか、館で寝起きする秘書、執事、小間使いがいて、アクロイドの友人などが登場し、登場人物のほとんどにアクロイドを殺す動機あるという設定である。

村の医師ジェームズ・シェパードが語り部となって物語は進んでいく。
シェパード宅の隣に引っ越してきた男は、よりにもよって引退したエルキュール・ポアロであった。
シェパードと同居する姉のキャロラインは、お喋りで詮索好きで、何にでも首を突っ込もうとする。ところが、情報収集に優れているキャロラインの推理は、あながち的外れでない。ポアロはキャロラインに一目置いているような節がある。

ポアロには、すべてを見通しているように周りに思わせる威圧感があり、登場人物たちに精神的なプレッシャーをかける。そのプレッシャーに負けて、精神的な苦痛から逃れようと、登場人物は次々にポアロに本音を打ち明けてしまう。

語り部のシェパード医師が犯人と深く関わっていれば、あるいは犯人であれば、犯人をひた隠しにして、最後まで話を進めることができるわけだが、そのトリックはフェアなのだろうか?というのがかつて起こった論争である。
シェパード医師は、99.9%は真実を語り、少し省略しようとしたかもしれないが、ぽアロに見破られそれがままならなかった。それをアンフェアとすると本書が成り立たなくなる。→人気ブログランキングへ
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→アガサ・クリスティ(1890〜1976年)は、母親クララの考えで正規の学校で学ぶことがなく、クララの教育を受けて育った。友人がいないアガサは使用人と遊んだり、空想の世界で一人遊びをしたり、父親の書斎の本を読みふけったりして、過ごした。
1914年に、アーティボルト・クリスティ大佐と結婚し、第一次世界大戦中に薬剤師の助手として勤めたことがあり、毒薬の知識を培ったという。
1920年、『スタイルズ荘の殺人事件』でデビューした。
1926年に母が死去しアガサは謎の失踪事件を起こした。
1928年にアーチボルトと離婚。
1930年に中東を旅行したさいに、14歳年下の考古学者マックス・マーロンと出会い再婚した。その後、夫の遺跡発掘調査に何度も同行したという。『ナイルに死す』(1937年)はそうした経験から生まれた作品である。
アガサ・クリスティーは、生涯に長編小説66作、中短編小説156作、戯曲15作を書いた他、別名での小説や自伝なども書いている。

ねずみとり』1950年
さあ、あなたの暮らしぶりを話して』1946年
そして誰もいなくなった』1939年
アクロイド殺し』1926年

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