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2016年1月14日 (木)

プラド美術館展@三菱一号館

プラド美術館展(2015年10月10日〜2016年1月31日)には、ハプスブルグ家とブルボン家が所有していた美術品の数々を所蔵する、世界に冠たるプラド美術館が提供した作品群が展示されている。こんな機会はまたとないだろうと、嫌が上にも期待は高まってしまう。

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ポスターには、「エル・グレコ、ベラスケス、ゴヤ、ムリーリョなど日本初86点が初来日!」あるいは、「世界に20点しか存在しない奇跡の画家ボスの直筆が初来日!」との宣伝文句が踊っている。えっ、ここで「直筆」という言葉を使うのとツッコミを入れたくなった。

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まずは、ヒエロニムス・ボス(1450頃〜1516年)の『愚者の石の除去』である。
ネーデルラント(オランダ)では、頭の石が大きくなると愚か者になるため、石を切除する手術が必要だと信じられていたという。
この絵で患者の頭から出ている石ではなく青い花。
手術をする外科医は漏斗をかぶっていて、本を頭に乗せて頬づえをついているのは患者の妻。隣にいる司祭は妻の間男だという。異能の作家ボスらしい、人を食った絵だ。
ちなみに、マイケル・コナリーのミステリ『シティ・オブ・ボーンズ』などの主人公ハリー・ボッシュ刑事は、母親がヒエロニムス・ボッシュからとって名付けた。

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ポスターになっている『ロザリオの聖母』(バルトロメ・エステバン・ムリーリョ作)は、キリストを抱き慈愛に満ちた清楚な表情のマリア像であった。サイズが166×112cmで大きい分、迫力があった。

エル・グレコの『エジブトへの逃避』『受胎告知』は、女性の描き方にグレコらしさが見られた。ゴヤの『傷を負った石工』は労災事故の1コマを描いた大作である。
ティツィアーノの『十字架を背負うキリスト』は臨場感が感じられ、流石だと思った。

ポスターに採用されている髪をアップにした貴婦人は、『マリア・ルイサ・デ・パルマ』(アントン・ラファエル・メングス作 )である。化粧が現代風で数種類の頬紅を使い分けているとのこと、艶やかだ。

三菱一号館は、美術展にはいささか狭い。
空間を最大限に使って、まずエレベーターで3階に上がりいくつかの展示室を回る。次に2階に降りるといくつかの展示室があり、さらに廊下を通り別の展示室に行くという順路になっている。廊下の床は木製で、靴の音がコツコツと響く。明治に建てられた洋館ならではの造りゆえに靴の音が大きく響くのだろう。

昨年の11月に本美術展に来たが印象が薄かったので、もう一度見ることにした。しかし、印象は変わらなかった。→人気ブログランキングへ

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