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2016年2月 1日 (月)

パリ・リトグラフ工房idemからー現代アーティスト20人の叫びと囁き@東京ステーションギャラリー

東京ステーション・ギャラリーのリトグラフ展に行く。
パリ・モンパルナスの工房からピカソやマチスやシャガールのリトグラフが生まれたという。今も存在するその工房で作られたリトグラフ130点を集めた美術展である。
本展は、原田マハの小説『ロマンシェ』と連動している。

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まずはエレベータで3階に向かい、リトグラフを順に見るのだが、知っている作家が少ないので、さっぱり入り込めない。

現代アートを見るときに、まず何が描かれているのか、人物が描かれているのか、人物の一部が描かれているのかにこだわってしまう。
あるいは動物だとか何か見覚えのあるものを探して、そこから何を描こうとしたのか作者の意図を探るという見方をしている。
現代アートは、「自分で何を感じるかなのだ」という鉄則にのっとり、自問するがさっぱり何も出てこないことが多い。

次は階段を降りて2階へ行く。
ステーションギャラリーの造りであるが、部屋の天井が矢鱈と高い、特に階段は吹き抜けのようになっている。階段の壁は、かつての駅の外壁を利用した古いレンガ仕立てになっていて、アーティスティックな、なんとも言えない趣がある。
2階では、映画監督のデヴィット・リンチの作品が、数多く飾られていた。映画は『マルホランド・ドライブ』やテレビの『ツインピークス』のようにわかりにくいのに、アートは意図するところがなんとなくわかる作品が多かった。

リトグラフ工房のビデオが流れていて、職人たちが石板に絵の具を塗り機械を操作しリトグラフを印刷する様が、モノクロで映し出されていた。ガムを噛みながら無言で無表情の職人がガシャン、ガシャンとリトグラフを刷る様は、まさにアートに見えた。
本展のポスターは、JRの『テーブルに寄りかかる男(1915-1916)の前のポートレート、パブロ・ピカソ、パリ、フランス』。工房の壁に、拡大したピカソの目を貼りつけたもの。
現代アートは押し並べて暗い。

『ロマシェ』のあらすじは、パリに渡った主人公がidemで作成したリトグラフを、日本で公開するというものらしい。グッズ販売の図書コーナーに『ロマンシェ』が平積みされているが、売れ行きはどうなのだろう。

パリ・リトグラフ工房idemからー現代アーティスト20人の叫びと囁き
東京ステーションギャラリー
2015年12月5日〜2月7日

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