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2016年2月12日 (金)

カレーライスと日本人 森枝卓士 

カレーライスの古典の名著が文庫で復刻された。本書の原本は、1989年に講談社現代新書として発刊されている。
カレーライスのルーツ探りからはじまる。
まずは、インドを取材するが、インドのカレーが日本に伝えられたという証拠をつかめないまま、著者はイギリスに渡る。
Photo_20210701083401カレーライスと日本人
森枝 卓士
講談社学術文庫
2015年

イギリスでの対応は、そんなこと調べてなんになるのかという冷たいものだった。
それでもめげず、今はネスレの傘下にあるC&Bの本社を訪ねる。
C&B社には資料がなかったが、以前に日本のテレビ局の取材で、C&B社がカレー粉を初めて商品化したことを知らされたという。
1884年の商品リストをみるとピクルス、ビネルガー、サラダオイル、肉魚の缶詰...など56項目あって、カリーパウダー&カリーペーストは28番目に載っている。このカリーパウダー&カリーペーストが日本に伝わり、カレーライスになった。

では、日本国内でのカレーはどのようにして広まったのか。
驚くことに、初めてのカレー料理の記載は、明治5年(1872年)発刊の『西洋料理指南』のカエル肉のカレーだという。明治19年(1886年)の『婦人雑誌』にカレーの作り方の記載があり、玉葱を使っているが、今のような野菜は入らない肉のカレーである。明治31年(1998年)の『日本料理法大全』にはカレーライスが登場し、カレーライスが和式洋食の座を獲得したといえるという。
夏目漱石の『三四郎』(1908年)に、カレーが出てくる。
『家庭実用献立と料理法』(大正4年刊、1915年)に、やっと具が入ったカレーが登場する。明治時代の「ソース型カレー」が、大正時代になって「シチュー型カレー」になった。

そして軍隊でカレーライスが採用され、調理法が広まっていった。軍隊でカレーが重宝された理由は一皿で栄養のバランスが良いからであった。
ちなみに、おふくろの味として君臨する肉じゃがも軍隊が発祥である。
昭和38年(1963年)、ハウス・バーモントカレーが発売されてから、家でカレーを作るといえばカレールウをと使うことが常識になった。

カレー粉がイギリスではなくインドから入ってきていたら、日本がカレー王国になったか疑問であるとし、日本には、欧米から学ぶことをありがたがるが、アジアのものだと見下す意識があったからという。

補遺では、これからは札幌のスープカレーのように、その地方特有のカレー文化が広まるのではないか。なぜならカレーは融通無碍だからと結ぶ。→人気ブログランキング

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