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2016年3月15日 (火)

"お金"から見る現代アート 小山登美夫

現代アートの悲観論を極力排除して、現代アートの前向きな部分を取り上げている。
現代アートは、抽象的だったり、あるいはメッセージ性が強すぎたり、こうあるべきだというような、美術のための美術になっていて、難解なだけであった。
Photo_20210630085001“お金”から見る現代アート
山 登美夫
講談社+α文庫
2015年

奈良や村上の作品は、お勉強ではなく、自分たちのリアリティつまり自分たちの中から出てきたアート、生きているアート、リアルクローズなアートである。

アートの価格には2種類ある。
プライマリー・プライスとは、ギャラリストとアーティストの間で決定される。作品がアーティストの手から離れ初めてアートマーケットに出されたときにつく価格のこと。
セカンダリー・プライスとは、市場の動きによって上がったり下がったりする価格のこと。オークションにでた場合に落札価格やコレクターが作品を手離し転売するときの価格などさまざまである。
セカンダリープライスがどんなに高くなろうと、作家にはお金は入ってこない。

どんな作品にも共通している価格設定の原則。サイズが大きくなれば値段ば高くなる。恒久性の素材で描かれたものほど値段が高くなる。ドローイングよりもペインティングの方が高くなる。

現代アートを難しくしている元凶は、作品の評価と価格が結びつかないことだ。美術館に飾られている絵画も、もともとアートは値段がついていたものであるという意識で見るのがいい。

名画・作品といわれる人気作品は、技術・感情・コンセプトの3つの要素のうちどれかが際立っている。
たとえば、セザンヌの絵は技術とコンセプトで革新的。ムンクは感情表現が優れている。
ピカソのゲルニカはコンセプトと感情表現が優れている。

コレクターに対して、嫌いだけれどすごいは買いだという。
嫌いということは強烈な個性があるはずである。好きなものばかりを集めていると、同じような作品だけを集めることになるので要注意だという。

アジアン・コンテンポラリアート・オークションについて苦言を呈し、世界最高の美術品の見本市アート・バーゼルについて紹介し、日本の現代アートの現状を解説している。→人気ブログランキング

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