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『星を継ぐもの』ジェームズ・P・ホーガン

本作のすごいところは、実際に長年にわたり答を見いだせずにいる人類の進化の謎に、説明をつけてしまうことである。
月面で真紅の宇宙服を着込んだ男の遺体が発見される。ルナリアンのチャーリーと名付けられたその遺体は死んでから5万年以上経過していると推定され、人間と同じ特徴を兼ね備えていた。

星を継ぐもの (創元SF文庫)
星を継ぐもの
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ジェイムズ・P・ホーガン /池 央あき訳
創元SF文庫 1980年 ★★★★★
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さらに、月の裏側で地下200フィートに建設された基地の廃墟が発見される。
その基地からは、ルナリアンの男女のばらばら遺体や食料とみられる魚や野菜も発見された。魚は地球上のものではなかった。

火星と木星の軌道の中間に、ルナリアンが住んでいた惑星ミネルヴァが存在していたことが判明する。
地球が最後の氷河期が最盛期にさしかかろうとした頃、それは太陽系全体にまたがる寒冷現象が起こった時期であり、ミネルヴァは生命滅亡の危機に瀕していた。この事態を回避するために、チャーリーよりずっと前の時代に、ルナリアンは他の惑星に移住する計画を実行していた。
チャーリーの手記が解読され、ミネルヴァが惑星間にまたがる全面的な核戦争で破壊されことが推測され、さらに、ルナリアンが月に到達した時期に、月面での大規模な核戦争が起きたとの結論に達した。チャーリーはその戦争で亡くなったのだ。

一方、木星の最大の衛星ガニメデの氷の底深くから、2500万年前の巨大宇宙船が発見された。その宇宙船の乗組員は人間とは似ても似つかぬ巨大な知的生物ガニメアンであった。さらに、まるでノアの方舟のように、太古の地球上の動植物が積み込まれていた。
ガニメアンの骨格とミネルヴァ産の魚の間には進化上の一致が見られた。

物理学者、生物学者、言語学者、技術者たちの懸命の解析が行われ、諸説が飛び交うが、どれもつじつまが合わず謎は深まっていくばかりであった。
そして30人ほどの研究スタッフを集めての会議で、調査委員会の責任者のひとり、原子物理学者のハントが謎を解き明かしてみせる。

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