神の守り人 来訪編
殺戮の神タルハマヤを呼び出すことができる少女アスラをめぐり、女用心棒バルサとカシャル(猟犬)の攻防がくりひろげられる。
ロタ王国のシンタダン牢城の広場で女の公開処刑が行われた。女の死体のまわりには、囚人や看守や兵士たちが、うなじや喉を裂かれて死んでいた。その惨状はまるで巨人が巨大な鎌をふるったような光景だった。
![]() 上橋 菜穂子 新潮社文庫 2009年 |
バルサとタンダが、晩秋に開かれる〈ヨゴの薬草市〉で見かけたのは、シンタダン牢城で処刑された女の子ども、兄のチキサと妹アスラであった。ロタの商人は兄妹をヨゴの人身売買組織〈青い手〉に売ろうとしてるところだった。
その瞬間、バルサは何者かに襲われ負傷し、〈青い手〉の3人は惨殺された。まるで、シンタダン牢城での出来事を思わせる惨劇であった。「あの子らは普通でない。関わるな」と呪術師見習いのタンダはバルサに忠告した。
〈タルの民〉には恐ろしい神を招く力を秘めた異能者が生まれるという言い伝えがあった。その異能者がアスラである。
ロタ王に仕えるカシャル(猟犬)のスファルとその娘シハナは、アスラの能力に目をつけていた。バルサは危険な兄妹であっても見殺しにはできないと、ふたりを守ろうとする。
15年前、ロタ王国のイーハン弟王は、辺境の城塞に巡視に出かけ、突然の吹雪で凍死しかけたところを、〈タルの民〉に助けられた。イーハン王弟は、そのとき世話をしてくれた娘に恋をしてしまった。一途なイーハン弟王は娘に結婚を申し込んだが、〈タルの民〉の娘が、ロタ人と結婚することは許されることではなかった。
ロタ王国は国内問題を抱えていた。
北部の貧しい領主たちは狼や羊熱病による羊の被害に苦しんでいた。一方、肥沃な土地をもつ南部の大領主たちはタルシュ帝国との交易を強く望んでいた。
イーハン弟王は、王国の領主会議で南の領主に増税を提案すると、南の領主の猛反発にあった。
バルサとタンダ、兄妹が宿泊する宿が襲われ火をつけられた。バルサとアスラはなんとか逃げたが、タンダとチキサはシアナたちに捕まった。
そして、バルサのもとに手紙が届けられた。「シャーサム(新年の月の20日の朝)、ジタン祭儀場の門をくぐれ。現れぬのなら、タンダとチサキの命がなくなる。」
バルサはアスラも一緒に連れて行くという条件で、ロタ行きの商隊の用心棒となった。→人気ブログランキング
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