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2016年5月16日 (月)

もしもし ニコルソン・ベイカー

会員制の電話サービスで、若い男女が「いま何を着ているの」ではじまり、性的な体験や妄想を語り合い、エスカレートしていく、いわば「電話小説」。ふたりはアメリカの東と西に暮らし、フルネームさえ知らない間柄。
ニコルソン・ベイカーがデェビュー作『中二階』で繰り広げたディテールにこだわり抜く手法が、本作で踏襲されている。
Photo_20201202140401 もしもし
ニコルソン・ベイカー/岸本佐和子 訳
白水社 1993年

「ぼくはワイセツ電話にはあんまりむいていないってことだね。イキそうなのを相手に悟られないようにするなんてできない」
「あーら、わたしにはできるわよ」
なんて会話が交わされ、やがて性的にもっとも興奮することを包み隠さず話すことが、会話の「決まり」になる。

ジムは、会社の 同僚のエミリーと一緒に自宅でAVを観たエピソードを語る。
さらに、ビデオの『ピーターパン』のティンカーベルが引き出しに閉じ込められて、鍵穴から出ようとしたときに、ヒップが大きすぎてひっかかるところがセクシーだという。
夜空に高く浮かび、アメリカ中のマスターベーションしている女性が発するチカチカする光を眺める空想を語る。

一方、アビィも負けじと、シャワーの浴び方を事細かに話し、別れた恋人とのことや、誘惑した男についてしゃべる。3人のペンキ職人とのからみや、サーカスでストリップを演じる妄想を語る。

ジムは、空想にも熾烈な生存競争があり、ちゃんと機能するものに進化しなければ、空想は生き残れないという。ジムの言葉どおり 、エロティックな空想をふたりで進化させて、ついに一緒に絶頂に到達する。
ここまであっけらかんと性を謳歌する物語は、アメリカでなければ生まれない。→人気ブログランキング

→『中二階』(2013/3/24)
→『もしもし』(2016/5/16)

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