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2016年5月 5日 (木)

ウェブ小説の衝撃 ネット発ヒットコンテンツのしくみ 飯田一史

出版業界が低迷するなか、唯一、成長している文芸書のジャンルがある。ウェブ小説の書籍化である。いまや日本の小説市場で、ウェブ小説が売上の半分近くを占めているという。
ウェブ小説の投稿プラットフォームが必要とされている理由は、紙の小説雑誌に影響力がなくなったこと、出版社は自前で新しい書き手を発掘し育て売り出すことが難しくなっていることによる。
Photo_20210529082301ウェブ小説の衝撃: ネット発ヒットコンテンツのしくみ
飯田 一史
筑摩書房
2016年

さらに、小説雑誌の新人賞はもはや形骸化している。
新人賞を獲得しても単行本化してもらえない、出版社から依頼を受けて雑誌に連載したのに単行本にしてもらえない、新人賞をとったのに次の作品を雑誌に載せてもらえない、こうしたことが常態化しているという。
出版業界には、ほんの20年前までは存在していた、自前の雑誌メディアを使って人気に火をつけたり、書き手を育てるという発想はなくなった。出版社がリスクを取らなくなったからだ。
そもそも、月間ユニークユーザー(雑誌購入者)がたった1万人の小説雑誌媒体に、宣伝力があるわけがない。

ウェブ小説の投稿・閲覧プラットフォーム「小説家になろう」は、月間10億PV以上、ユニークユーザーは400万人以上を誇るサイトである。作家登録者は68万人を超え、投稿作品数は36万以上。ユーザーの男女比は6対4。
なお、『君の膵臓をたべたい』(住野よる 双葉社 2015年6月)は「なろう」に投稿され、ベストセラーになった。
「なろう」を運営するのは京都生まれの株式会社ヒナプロジェクト。代表の梅崎祐輔氏が学生だった2004年にサービス開始、2009年に大幅リニューアル、2010年法人化を果たした。
2014、15年には、「小説家になろう」書籍化作品が無視できないほどの売上規模になった。100億円の市場であり、さらなる伸長が期待されている。

既成の出版社が小説投稿プラットフォームを作れない、うまく運用できないのはなぜか。
出版社は有料の電子書籍をどう売るかばかりに注目してきた。そのため、出版業界には「紙の書籍」と「電子書籍」の二択という発想しかなかった。
さらに、意思決定やプロダクト提供に関する考え方の違い(失敗を許さない体質)、エンジニアを採用できない人事制度上の問題、新規事業を展開してこなかったツケ、だという。→人気ブログランキング

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