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『京都はんなり暮し』澤田瞳子

奈良時代の仏教史が専門の著者は、歴史や古典のうんちくを挟み込みながら、京都の四季の行事を中心に紹介していく。

成人式といえば三十三間堂の通し矢だったが、ハッピーマンデーになって成人式が別の日に行われるようになった。成人式は年が明けての15日満月の日に元服を行った習慣に由来するもの。来歴を無視して祝日を移動させてもらいたくないと苦言を呈する。

京都はんなり暮し: 〈新装版〉 (徳間文庫)
京都はんなり暮し
posted with amazlet at 16.05.10
澤田 瞳子
徳間文庫 2015年

陰陽師・安倍晴明が祀られた晴明神社はかつて閑散としたところだったという。
夢枕獏の『陰陽師』や同作を原作とした岡野玲子の漫画で、人気のスポットとなった。安倍晴明は平安時代に、いまで言うならば公務員として高い地位まで上り詰め、当時としては珍しいくらい長生きしたという。そんな、ありがたい神霊スポットと期待して先日訪れたが、まるっきりこじんまりした所だった。
安倍晴明がユダヤ教徒だとする珍説は、鳥居の真ん中を飾る星のマークが、ダビデの星と同じであることからきている。

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京都では、町名の数え歌を迷子のならぬように幼稚園から教えるという。
また、京の町はコンパスを持って歩くのがいいという。百均で売っているような安いコンパスで十分。京の町は道路が碁盤の目になっていて、京都御所が北にある。

京都で京都と認識されているエリアと、現在の行政地区・京都市の間には相当なズレがある。ちなみに一般に京都人がイメージする「洛中」は、天正19年(1591)に豊臣秀吉が築かせた「お土居」の内側の地区である。東西約三キロ、南北6.5キロ。
京都人のイケズの代名詞〈京都の茶漬け〉は、こうした狭い土地での人間関係を穏やかにしようとする京都人の気遣いと京都を擁護する。

明治天皇以降の天皇陛下は東京にお住まいだが、遷都の詔は発布されていないから、日本の首都は今でも京都なのだと言い張る人がいる。京都御所はいまだに皇居で、「天皇はんはちょっと江戸に行っていはるだけ」という感覚があるという。
洛中の人らしい発想である。

月人壮士(つきひとおとこ)/中央公論新社/2019年
落花/中央公論新社/2019年
秋萩の散る/徳間書店/2016年
師走の扶持 京都鷹ヶ峰御薬園日録/徳間書店/2015年
ふたり女房 京都鷹ヶ峰御薬園日録/徳間文庫/2016年
与楽の飯 東大寺造仏所炊屋私記/光文社/2015年
若冲/文藝春秋/2015年
満つる月の如し 仏師・定朝/徳間文庫/2014年
泣くな道真 ―太宰府の詩―/集英社文庫/2014年

→『京都ぎらい』井上章一
→『京都はんなり暮らし』澤田瞳子

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