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『師走の扶持』澤田瞳子

薬草を育成し乾燥させ販売したり、調合して服用させたりする薬草師という特殊な職業の女性を主人公にした、澤田瞳子の短編連作集第2弾。
元岡真葛(まくず)は、京都鷹ヶ峰で幕府直轄の薬草園を営む藤林家に養われている女薬草師。その技量は医師すら一目おく。
まだ23歳の真葛がそうした技量を習得したのは、幼い頃から、飽くなき探究心を持って、薬草園の仕事に好んで携わったからに他ならない。

真葛の父・玄巳(げんい)は、3歳の真葛を薬草園の藤林信太夫(のぶだゆう)に託し、医術の研鑽のため長崎に赴く途中で行方知れずとなった。それ以来、信太夫が養父となった。
子持たずの信太夫は、匡(ただす)を妻子ぐるみで養子に迎え藤林家6代を継がせた。
信太夫が亡くなると、後を追うように妻が亡くなり、真葛は薬草園を出ることを考えたが、匡から懇願され薬草園にとどまることになった。

師走の扶持: 京都鷹ヶ峰御薬園日録 (文芸書)
澤田 瞳子
徳間書店
2015年

「糸瓜の水」
小石川御薬園の岡田家と隣り合わせの芥川御薬園の芥川家は犬猿の仲。道端で倒れている岡田家の奉公人・辰次の母親を真葛は芥川家に連れていって、薬草を煎じて飲ませた。ところが、処置のあとその母親が瀕死の容態となる。
「瘡守」
餅屋で見かけた旅籠千鳥屋のお佐和は梅毒にかかっていた。夫に冷たくされているという。真葛が千鳥屋の夫を見る限り、妻を邪険にするような人物ではない。真葛は夫婦の危機を救う。
「終の小庭」
真葛は隠居を控えたお供の喜太郎を娘夫婦の家に連れて行く。娘夫婦が居留守を使う理由は?
「撫子ひともと」
義姉の初音が持ってきた縁談の唐突さに、23歳の真葛は鼻を曲げた。そんな真葛のもとに、妊娠した娘が相手からもらった丸薬を持って現れる。奇しくも真葛の縁談の相手が娘を妊娠させた男だった。
「ふたおもて」
定平はもと加賀藩藩医だった。30過ぎに職を辞し、京で薬屋亀甲屋をはじめた。店を息子に任せ、もっぱら生薬の仕入れに諸国を旅していた。定平は藩医だった頃、世話になった医師・影山の妻お通に出会う。落ちぶれて旅籠の飯炊き女に身をやつしていたお通の面倒をみることにした。
「師走の扶持」
真葛は、咳の止まらぬ患者の往診を頼まれた。患者は真葛の叔父御にあたる人物。深刻な後継問題を抱えていた。

月人壮士(つきひとおとこ)/中央公論新社/2019年
落花/中央公論新社/2019年
秋萩の散る/徳間書店/2016年
師走の扶持 京都鷹ヶ峰御薬園日録/徳間書店/2015年
ふたり女房 京都鷹ヶ峰御薬園日録/徳間文庫/2016年
京都はんなり暮らし/徳間文庫/2015年
与楽の飯 東大寺造仏所炊屋私記/光文社/2015年
若冲/文藝春秋/2015年
満つる月の如し 仏師・定朝/徳間文庫/2014年
泣くな道真 ―太宰府の詩―/集英社文庫/2014年

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