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『ふたり女房』京都鷹ヶ峰御薬園目録 澤田瞳子

豊富な知識に裏付けされた緻密な設定で、移り変わる京都の四季のなかに物語が展開される。溢れでんばかりのアカデミズムが魅力だ。
京都鷹ヶ峰御薬園目録シリーズの第一弾。

ふたり女房: 京都鷹ヶ峰御薬園日録 (徳間時代小説文庫)
澤田 瞳子
徳間文庫 2016年1月

 

主人公・真葛(まくず)の母方の祖父・従四位下左兵衛佐・棚倉静晟(しずあきら)は、娘の倫子(のりこ)と南山城の農家の出身である医師・玄巳(げんい)との仲を激怒し、娘を義絶した。
夫婦が水入らずの暮らしを始め、娘の真葛を授かり3年がたったときだった。玄巳が何日か留守をしたさいに、倫子が流行風邪をこじらせて、あっけなく亡くなった。
玄巳は、3歳の真葛を鷹ヶ峰御薬園の名医・藤林信太夫に預け、勉学の目的で長崎に向かい行方知れずとなった。
真葛が5歳のときに、信太夫が書をしたため、それまでの経緯を棚倉家に伝えたが、静晟からの回答はなかった。その代わり、年に1度米1俵と味噌1樽の真葛の食い扶持を、一方的に届けてくるようになった。

「人待ちの冬」
成田屋は先代が亡くなり娘婿に代わってから、すこぶる評判が悪い。
成田屋の奉公人お雪からの便りは絶えたまま。棚倉に仕える平馬は、真葛に、お雪が人に会わない理由を探ってくれるようにと願い出る。
「春愁悲仏」
患者は、真葛の煎じる薬が効かないと、仏像を削って薬として病人に与える坊主・忍円に頼っているという。
「為朝さま御宿」
匡のひとり息子・辰之助が、疱瘡に罹った。三条西家の次男実季の疱瘡は重篤である。辰之助の容態は山越えたが、実季は亡くなった。そして、実季の乳母が姿を消した。
「ふたり女房」
浪人の広之進は、江戸で狼藉者に絡まれていた男を助けたのが縁で、男の娘である強烈な気性の汐路の婿になった。新発田藩京詰めのお役目となったが、京には夫の帰りを待ち光穏寺で病気療養をする妻がいた。光穏寺の様子を伺う不審者が出没していた。
「初雪の坂」
氷室屋のご隠居が薬草園の薬を飲んで殺された。
薬を渡したのは安養寺の住職・範円。範円に毒芹を渡したのは年長の孤児•小吉だった。
「粥杖(かゆづえ)打ち」
禁裏の粥杖打ちの行事で、粥杖で伏見宮様に尻を 叩かれたお竹が妊娠したという。
書肆・佐野屋の娘・お竹は、医者になりたくて産医の賀川満定にその旨を願い出ていたが、満定は断っていた。いったい父親は誰なのか?お竹は産むという。

月人壮士(つきひとおとこ)/中央公論新社/2019年
落花/中央公論新社/2019年
秋萩の散る/徳間書店/2016年
師走の扶持 京都鷹ヶ峰御薬園日録/徳間書店/2015年
ふたり女房 京都鷹ヶ峰御薬園日録/徳間文庫/2016年
京都はんなり暮らし/徳間文庫/2015年
与楽の飯 東大寺造仏所炊屋私記/光文社/2015年
若冲/文藝春秋/2015年
満つる月の如し 仏師・定朝/徳間文庫/2014年
泣くな道真 ―太宰府の詩―/集英社文庫/2014年

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