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関西人の正体 井上章一

本書は、『月刊 DENiM』に掲載された『関西学』(1993年1月〜95年2月)を中心にまとめられている。ベストセラー『京都ぎらい』(2015年刊)の底本といえる内容である。
およそ愚痴だらけだが、ユーモアあふれる理屈が次々と述べられるから、納得がいくのだ。そういえば、関西人ってそういうところあるわ、という「関西人あるある」を、独創的な視点で論じている。

たとえば、議論がもつれたときに、話の主導権を奪うために、関西弁を使う。絶好の武器になるという。この関西弁を、著者は「知をゆさぶる野生」と表現している。テレビのトーク番組で、関西の論客が使う常套手段だ。


関西人の正体 (朝日文庫)

関西人の正体



posted with amazlet at 16.10.31
井上章一
朝日文庫  2016年7月

 

東京の街頭取材で、5割強のひとびとが大阪を1位にあげた。大阪でのインタビューでは路上を行くひとびとの6割強が、大阪と答えた。大阪人自身が自覚している大阪助兵神話は根強く国民に浸透しているといえる。

関西という呼び名についての考察が面白い。
かつて、行政区分を表す用語として畿内や近畿地方が用いられた。それが最近は関西地方と呼ばれることが多くなった。その昔、関東は京から遠く離れた辺境の地という意味で使われた。辺境の地だった関東が首都圏へと格上げされたのだ。畿内から格下げされて関西地方と呼ばれている地方と、対照的であるという。

著者は、いわゆる大阪論、京都論の常套をこわすことをめざしているという。
頻回にテーマになっているのが、東京はえらい、没落した関西はえらくないという対比である。その理由を、歴史を紐解きつつ自虐的に分析している。それが、的を射ていてクスリと笑わせるのだ。→人気ブログランキング

京都まみれ/井上章一/朝日新書/2020年
京都ぎらい 官能編/井上章一/朝日新書/2017年
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関西人の正体/井上章一/朝日文庫/2016年
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