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『爆発的進化論 1%の奇跡がヒトを作った』更科 功

進化論の真髄を最新のトピックスを交えて解説している。使われている専門用語が少なく、曖昧なところがなく、非常にわかり易い。

ウイルスは半生物であり、あえて生物か無生物かに二分すれば無生物である。
生物とウイルスは、タンパク質を作る道具「リボゾーム」の有無で、一線が引かれる。ウイルスは生物のリボゾームを借りないと、タンパク質を合成することができない。

動物が最初に作った硬い組織は「流体骨格」であった。哺乳類のペニスが典型的な流体骨格である。そもそも流体骨格を持っていない動物はいない。「鉱物化した骨格」の役割は、運動と保護と支持である。

カンブリア紀(約5億4200万年前〜約4億8830万年前)は10期に分けられ、第2期には生痕化石(動物が這った痕など)だけでなく、小さな化石が世界中の地層から見つかるようになる。第3期は、現在生きている多くの動物の祖先が化石として出現する。そのため、第2期から3期にかけての、約1500万年間を、慣例で「カンブリア爆発」と呼んでいる。

カンブリア爆発が起こった理由は、一つはこの時期に多くの動物が骨格を発達させたからであり、二つめは多くの動物の「ボディプラン」がこの時期に出来上がったことである。動物の体の基本的な構造を「ボディプラン」といい、同じ構造のグループを「門」と呼ぶ。

カンブリア爆発では捕食者が出現し、捕食者にとって有利な眼を発達させた。
カンブリア紀に眼を発達させたのは、アノマロカリスが属する節足動物門、ハルキゲニアが属する有爪動物門と、脊椎動物門であった。
「眼は知性ある何かによって作られた」と主張する「インテリジェント・デザイン」という考え方がある。眼が進化によるとすれば、半分しかできていない眼も存在するはずであるというのが根拠。

上腕骨1本、前腕骨2本、手根骨、中手骨、指骨という上肢の作りをたどっていくと、人類の祖先がわかってくる。四肢動物は、DNAなどのデータからハイギョの仲間から進化した。

鳥は恐竜の獣脚類から進化した。鳥は完全に恐竜なのだ。だから、恐竜は絶滅していないという。

チンパンジーと人類は同じ祖先を持つが、人類はチンパンジーから進化したわけではない。700万年前に現れたサヘラントロプス・チャデンシスからホモ・サピエンスまでに、およそ25種類の人類がいたことがわかっている。すべてが2足歩行していた。
ホモ・サピエンスは、およそ20万年前にアフリカで誕生した。これがすべての現生人類の祖先である。そして、約10万年前にアフリカを出て世界に散らばっていった。

「赤の女王仮説」とは、生物の種は絶えず進化していなければ絶滅するという仮説。
無性生殖よりもコストがかかるにもかかわらず、有性生殖が行われる理由として、有性生殖は絶えず新しい組み合わせの遺伝子型を作ることによって、進化速度の速い細菌や寄生者に対抗していると考える。ルイス・キャロルの小説『鏡の国のアリス』で、アリスが赤の女王に手をひかれて、全速力で走っていた。もうこれ以上走れないへとへとのアリスが、木に寄りかかってあたりを見まわすと、そこは元の場所だった。女王は言う。「ここでは、同じ場所にとどまるためには、絶えず全力で走っていなくちゃいけないのよ」

「DNA→RNA→タンパク質」 という遺伝情報の流れは、すべての生物が共有している特徴であり、これは生物学における「セントラルドグマ」と呼ばれる。
DNAとRNAの構造はよく似ているが、異なるところが1箇所ある。RNAでは「OH(水酸基)」という原子団が結合している箇所が、DNAでは「H」になっている。
OHとなっていることで、RNAは分解されやすい。RNAはタンパク質を作ったら役目は終わりで分解される運命にある。

『破壊する創造者 ーウイルスが人を進化させた』 フランク・ライアン

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