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『室町無頼』垣根涼介

室町時代中期、応仁の乱が起こる前、頻発する飢饉と室町幕府の失政により、人々の生活はどん底に落ち不満は極限に達していた。
世直しの土一揆を企み着々と準備を進める蓮田兵衛、その先頭に立って戦わねばならない兵法者の才蔵、一揆を制圧する側の骨皮道賢、比叡山を後ろ盾に金貸しとしてやりたい放題の法妙坊暁信。
これらの人物に、高級娼婦の芳王子(ほおうじ)が絡む。
蓮田兵衛、骨皮道賢は実在の人物。

室町無頼
室町無頼
posted with amazlet at 16.11.09
垣根 涼介
新潮社
2016年8月 ✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎

15歳で浪人の父親を亡くした才蔵は、独学で棒術を身につけ、強盗を叩きのめしたこともあった。17歳のときに、比叡山の僧兵を束ねる法妙坊暁信に土蔵の用心棒として雇われた。才蔵は生まれてはじめて、他人に期待される立場にいることに自信を持ち、また戸惑いを覚えた。土倉とは銭貸し業のこと。

ある日、土倉が襲われ、 用心棒のうち最後まで盗賊と闘った才蔵はとらわれの身となった。盗賊の首謀者は骨皮道賢。配下に浮浪人やならず者300人を集める頭目である。幕府は道賢に京の警護を任せていた。警察でありながら強盗も働く道賢は、乱世ゆえにまかり通る存在である。

暁信は才蔵を族の一味と疑い探していた。
道賢は才蔵を蓮田兵衛に預けることにした。預ける理由は、土倉襲撃が道賢の仕業と法妙坊にバレないことと、才蔵は腕は立つが足軽稼業には向かないこと。
兵衛はその才蔵を唐崎の老人に預けた。そこで9か月間、文字通り命をかけた修行をこなし、老人から先端に三角錐の金具がついた六尺棒を授けられた才蔵は、逞しい武芸サイボーグとなって兵衛の元に帰ってきた。

兵衛の屋敷には、多彩な人物たちが寝泊まりし、金も払わずに食事をしていく。兵衛は、いざという時のために、そうした人々の話を聞き情報を集め、心を掌握しているのだった。こうして、兵衛は着々と土一揆の準備を進めていく。
一揆が起これば、道賢や法妙坊暁信は制圧する側に回らなければならず、誰も生き残る見込みはない。

そして、一揆の蜂起に向かってストーリーは進んでいく。
長く生きてもいいことなどあろうはずもない乱世に、無謀な戦いに挑む「無頼」な男たちの、痛快なピカレスク・ロマンである。

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