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2017年3月

『ルポ トランプ王国 ーもう一つのアメリカを行く』 金成隆一

著者は朝日新聞社ニューヨーク支局の特派員。2015年から1年間かけて、14州150人にインタビューを行って書き上げた。

トランプは発言がめちゃくちゃで、見ている分にはおもしろい。アメリカの識者やメディアが指摘したように、年内には人気が陰って選挙戦から脱落するというのが、大方の識者というか世界中の見方だった。それが、蓋を開けたら下馬評を覆したのだ。

インタビューの中でペンシルベニア州のフェンス工場で働くシングル・ファーザー(38)の言葉が、トランプに投票した人たちの本音を表わしている。
彼はオバマとは正反対で下品なやつだ。でも思っていることを正直に言う。これが魅力なんだ。・・・あいつは権威のあるやつにもひるまず、やりかえすカウボーイ。本音むき出し。エリートが支配するワシントンを壊すには、それぐらいの大バカ野郎が必要だ。1期4年だけやらせてみたい。

ルポ トランプ王国――もう一つのアメリカを行く (岩波新書)
金成 隆一
岩波新書 2017年2月
売り上げランキング: 1,976

2016年と2012年の大統領選挙の選挙結果を比較すると、前回民主党が勝利し、今回トランプが勝った州が6つある。オハイオ、ペンシルベニア、ウィスコンシン、ミシガン、アイオア、フロリダ、である。このうちフロリダ以外の5州は、5大湖周辺の通称「ラストベルト(錆びついた工業地帯)」に全体もしくは部分的に含まれる州である。
従来型の製鉄業や製造業が栄え、高卒のブルーカラー労働者たちが、ミドルクラスの生活ができたエリアである。なにも考えず、民主党を支持してきた人たちだったが、今回トランプ支持に回った。これがトランプ勝利の原動力となった。

真面目に働いてもミドルクラスから滑り落ちる。そんな不安や不満は、ラストベルトだけのものではない。NAFTA(北米自由貿易協定)により企業が工場を外国に移す。
学歴がなくとも真面目に働けば食べていけた社会であるはずなのに、後からやってきたヒスパニックが低賃金を武器に仕事を奪っていく。さらに製造業では、不法労働者に職を奪われる。

トランプの公約は、イスラム圏からの入国規制、TPPからの離脱、オバマケアの撤廃、メキシコ国境の壁建設、大規模減税やインフラ投資である。このうち、イスラム国からの入国禁止は裁判所が差し止めし係争中である。オバマケアの撤廃は身内の共和党員の反対で実現不可能となった。メキシコとの壁、減税・インフラ整備は予算の問題で実現は難しいとみられている。唯一、TTPからの離脱だけが実現している。

トランプは選挙期間中、人種だけでなく、イスラム教や女性、身体障害者など、自分と異なるあらゆる属性の人々を侮辱する言動を繰り返した。さらにKKKに対する非難を拒否した。

著者はトランプ政権の政策の行き詰まりによって支持者離れが起こったときに、トランプのこの反知性主義や白人至上主義により、アメリカが危うい方向に進むのではないかと危惧している。最悪の場合、どこかの国と戦争を始めるということもありうるとしている。このことは世界中が密かに懸念していることだ。→人気ブログランキング

ルポ トランプ王国 ーもう一つのアメリカを行く 金成隆一 岩波新書 2017年2月
沈みゆく大国アメリカ 堤 未果 集英社新書 2014年
レーガンーいかにして「アメリカの偶像」となったか 村田 晃嗣 中公新書 2011年
アメリカン・デモクラシーの逆説 渡辺 靖 岩波新書 2010年
ルポ 貧困大陸アメリカⅡ 堤 未果 岩波新書 2010年
現代アメリカ宗教地図 藤原聖子 平凡社新書 2009年
ルート66をゆく アメリカの「保守」を訪ねて 松尾理也 新潮社新書 2006年

『言ってはいけない 残酷すぎる真実』 橘 玲

ベールをかぶされてうやむやにされていること、誤解されて認識されていること、有名な学説が間違いであったこと、宗教などによってねじ曲げられていること。
これらについて、遺伝進化学、進化心理学、認知心理学、犯罪心理学、統計学、脳科学などの分野の論文や著作を紹介し、タブーを表沙汰にしたのが本書である。
扱っているテーマは広範囲わたり、データに対する解説が明快でわかりやすい。

言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)
橘 玲
新潮文庫  2016年4月
売り上げランキング: 386

知能や容姿、犯罪者としての素因や病気(精神病も含む)、性格(こころ)までもが、遺伝子で決まるという、身も蓋もない現実を見せられる。
この現実を突きつけられて動揺するのは、教育関係者とフェミニストと子育て中の親たちだろう。

解説されたテーマを列挙すると、
・3歳児を対象とした調査で、刺激により脈拍数が増加しない子どもは反社会的な素因がある。
・同じく発汗しない子どもは良心を学習しない。
・黒人は平均より1SDくらいIQが低い。
・アシュケナージ系ユダヤ人(ドイツあたりに住んでいた)は知能が高い。
・繰り返し性犯罪を犯す人物や遺伝的に犯罪者の素因を持つ人物が特定できる。
・顔の横幅が広い人は面長の人より攻撃的である。(→『サイコパス』)
・美人はブスに比べ生涯3600万円多く稼ぐ。ブスは平均的な女性に比べ1200万円損をする (『美貌格差』ダニエル・S.ハマーメッシュ 東洋経済新報社 2015年)
・ボーヴォワールは「人は女に生まれるのではない。女になるのだ」と書いたが、この仮説は社会実験によって否定されている。
・フロイトのエディプス・コンプレックスはデタラメ。
・旧石器時代の人類は集団内の女を男たちで共有する乱婚だった。彼らは別の部族と出会うと女を交換し、新しく集団に迎い入れた女は乱行によって歓迎される。
・男性が、短時間で射精するのは、女性が大きな声を上げる性交が危険だからだ。
女は大きな声をあげることで他の男たちを興奮させ呼び寄せる。女は一度に複数の男と効率的に性交し多数の精子を膣内で競争させることができた。その為には、よがり声だけでなく、連続的なオルガスムが進化の適応になる。
・別の家庭で育てられた一卵性双生児の類似性から、心における遺伝の影響は極めて大きい。
・別々の家庭で育った一卵性双生児はなぜ同じ家庭で育ったと同様によく似ているのか、子育ては子どもの人格形成にほとんど影響を与えない。子どもたちは、友だちのなかでグループの掟に従いながら遺伝的要素を土台として自分のキャラを決めていく→人気ブログランキング

『夫のちんぽが入らない』 こだま

テレビで、今やベストセラーとなった本書のタイトルが「あり」か「なし」かという討論をやっていた。出版に際しこのタイトルでは売れないという出版社内部の意見があったが、あえて踏み切ったという。本書は、著者が同人誌に書いた同名のエッセイを私小説にしたもので、タイトルをそのままにした賭けは大正解となった。番組での小説自体の評価はいたって好評だった。
早速、本屋で探したが見当たらない。店員に声をかけるのは憚れられたので、アマゾンに注文したら翌日に届いた。
本書を読んでいるときに「なに読んでいるの?」と不意に訊かれても、タイトルがたやすくバレない気配りがされた装丁になっている。この堂々としていないところが、小説の内容とマッチしていていい。

主人公は、大学時代から同棲していた1学年上の男性と結婚した。
夫は高校の教師、主人公は小学校の教諭になった。夫とのセックスは、はじめからうまくいかなかった。何度試みても入らない。この「夫のちんぽが入らない」問題をずっと引きずっていく。

夫のちんぽが入らない
こだま
扶桑社 2017年1月
売り上げランキング: 36

夫は風俗に通い家ではポルノビデオを観ていたが、自分に負い目を感じている主人公は見て見ぬふりをし、結婚4年までは平穏だった。

受け持ったクラスが学級崩壊し、精神的に追い詰められた頃から、歯車が狂いだした。
主人公は崩壊したクラスを立て直すことができず、精神的に限界に達し退職した。
日記サイト(実は出会い系サイトだった)で知り合った男たちとつきあい、不思議なことに、その男たちとのセックスはうまくいった。
身体の節々が痛くなり、自己免疫疾患と診断され、薬物治療がはじまった。
子どもの頃からの母親との確執は解決されず、自殺を考えるような心境に追い込まれてしまう。
やがて、夫がパニック障害となり「やる気の出る薬」を飲みはじめた。
夫との間に性的な関係はまったくなくなった。

夫との出会いから20年経った今、大学生の時に周りから言われたように「兄妹のような関係」で、暮らしていくことになったところで終わる。
子どもを産もうと医療機関を訪れたにもかかわらず、「ちんぽが入らない」ことを医師に相談しなかったのは納得がいかないが、筆の力でねじ伏せられてしまう。 →人気ブログランキング

本書は、学資保険を勧める保険外交員と母親に言いたいことで、締めくくられている。〈私は目の前の人がさんざん考え、悩み抜いた末に出した決断を、そう生きようとした決意を、それは違うよなんて軽々しく言いたくはないのです。人に見せていない部分の、育ちや背景全部ひっくるめて、その人が現在あるのだから。それがわかっただけでも、私は生きてきた意味があったと思うのです。〉
普通でない夫婦の奮闘記である。

日曜の朝

ボブ・ロスの油彩画のような浮き浮きした朝に、「4歳だったよね」とのデイヴィットの言葉に、ブレンダは苛立った。
夫婦の歳の差をいまさら話題にすることもさることながら、過去形で言ったことに、腹が立った。それが、夫のアルツハイマーのはじまりとは思いたくないが、どこかおかしいと思った。
日常の会話で、吟味されない中途半端な言葉が使われることはままあることだが、歳の差に関わるとなるとブレンダは看過することができない。
結婚をして5年が経った頃に、夫婦喧嘩が毎日のように勃発した。もしふたりの喧嘩を一部始終見届ける者がいたとすれば、およそほとんどの場合、悪いのはブレンダと断ずることだろう。喧嘩を仕掛けるのはブレンダだったし、アクセルを踏むのもブレンダだった。「青二才」とか「年増」とか、相手を揶揄する言葉が飛び出して終結するのだが、それが「ハゲ」や「ババア」とエスカレートしていった。喧嘩の収まりどころが年齢差であったことが、決定的な亀裂に至らなかった理由のひとつだとブレンダは思っていた。
生まれた年を比べると差は4歳だが、ブレンダは9月生まれ、デイヴィットは12月生まれなので、9月から12月までの3か月間は差が5歳となる。ある時、デイヴィットはその3か月は年齢差を5歳と明確に認識すべきだと主張し、わざわざ「増大期」と名付けた。
「そんな些細なことに拘って、まるでパラノイアだわ」とブレンダは言ったことがあった。「今は増大期だから、意見が食い違うのは仕方がないよ」などと、デイヴィットはブレンダの神経を逆撫でするようなことを口にした。
やがて、ふたりは売り言葉に買い言葉を実践したところで何も解決しないことを悟った。そして、年齢差について触れることが、ふたりの間でタブーになった。
それが、数か月前にデイヴィットによって久しぶりに持ち出されたのだ。これが尾を引いた。このことをきっかけに、寝るときに電気を消さなかったとか、鍵をかけ忘れたとか、電話の内容を伝えなかったとか、些細な落ち度を指摘しあうようになっていた。

デイヴィットの風体が妙だった。日曜なのに出かける支度をしていて、すでにスーツのズボンを履いていた。ところが中途半端なことに、上はパジャマのままだ。後頭部の髪の毛が馬のたてがみのように突っ立っていた。
ダイニング・キッチンに、タバコをくわえて現れたブレンダにデイヴィットが言った。
「4歳だったよね」
いらついたが、ブレンダは気を鎮めるように間をおいてから言った。
「きょうは日曜よ。会社は休みでしょ」
「ああ、勘違いしたんだよ。夢を見たんだ。ヘンリーから電話がかかってきて、仕事の話になったんだ。今日は朝イチでミーティングをすると言うんだ」
暑苦しい格好だが、それならなんとかつじつまが合う。
ヘンリーはデイヴィットの同僚である。
「この間、ヘンリーが母親の入所する認知症グループホームの見学に行ったんだって。認知症が進んで一人暮らしが難しくなってきたというんだ。
正確にはレビー小体型認知症というタイプだそうだ。物忘れより幻視がひどいらしい。ヘンリーのお母さんは、何年も前に死んだ愛犬の名前をしょっちゅう呼ぶようになって、おかしいと思ってファミリー・ドクターに診せたら、レビー小体型と言われたそうだ」
「ヘンリーのお母さん、おいくつ?」
「さあ、正確なところは知らないけれど、80歳ぐらいじゃないか。2年くらい前に、入居者への暴行事件でマスコミで話題になった介護施設があったじゃない。犯人が20歳そこそこの若い男でさあ、覚えてる? そこを第一候補にしたらしい」
「覚えてないわ。なんで、そんな曰くつきの所を選んだわけ?」
「入居費用を、他の所の80%くらいにダンピングしてるんだって」
「安すぎじゃないの」
「事件のあと入居者が減って、普通にやっていてはジリ貧だからと、ダンピングしたんだってさ。だから、きちんとしていて活気があったと言ってたよ」
ブレンダは、右上の歯を気にしてしきりに歯をすすったりしている。
「歯の具合悪いの?」
「寝ているときに歯ぎしりをしたのかしら。この前、神経を抜いた犬歯がしっくりしないのよ。なにかが挟まって歯が傾いている感じなの」
さかんに右の頬を親指で押している。

デイヴィットが作っていたふたり分のハムサンドが出来上がり、それを皿に盛りつけ、テーブルに並べた。別の器にはケロッグのノンシュガー・タイプのシリアルを盛った。
デイヴィットはシリアルを頬張るといつも思うことがあった。ケロッグ博士のことだ。20世紀のはじめケロッグ博士がシリアルを開発したのは、性欲抑制の食品を作り出すことが目的だった。そのことを知ったときデイヴィットは思わず笑いがこみ上げてきた。
ケロッグ博士はなぜそのような考えに取りつかれたのか。禁欲主義が世の中を席巻した時代のせいだ。性愛は邪悪、禁欲こそがまっとうな人間の追求すべきことという風潮であった。

デイヴィットの作るハムサンドは絶品である。それは、町の繁華街あったダイナー「ホワイト・クロス」の超人気メニューをパクったものだ。姉妹が経営していた「ホワイト・クロス」は、3年前に後継者がいないという理由で惜しまれつつ閉店になった。
「ホワイト・クロス」の妹が作る焼きサンドは芸術的だった。オーブンでトーストを焼いたのち、片面にバターを塗ってスライスしたタマネギとスライスチーズを乗せ、再びオーブンで焼く。そこに2枚のハムとレタスと薄切りキュウリを乗せ、万能調味料のクレイジー・ソルトを振りかけて、もう1枚の焼いたトーストで挟み、爪楊枝を刺してからパンの耳の部分を切り落と出来上がりだ。直角三角柱の断面はあくまでシャープで層構造が美しい。これにクレイジー・ソルトを振りかけて食べると、文句なしに旨い。
ふたつのマグカップにたっぷりのカフェオレを注いで、デイヴィットは椅子に腰かけた。
「起きたばっかりだから、食欲がないわ。せっかくの焼きサンドだけれど、今は食べられない」
ブレンダはサンドイッチの皿を、手甲で押して目の前から遠ざけた。
「きのうだったかな、ダイナーでハンバーグ・ランチを食べたんだけどさ、まずサラダが出てきて、中身はレタスとキュウリと細切りのニンジンだけで、それが新鮮でよく冷えているんだよ。玉ネギのドレッシングが抜群に合ってさ、サラダを平らげてちょっとしたころで、ハンバーグが出てくるわけ、それがいいタイミングでさ。それで、味見のつもりで、フォークで端っこをちょっとだけ切って頬張ると、デミグラス・ ソースが絡んでふわふわで肉汁がじんわり出てきて旨いんだ。
ここでパンを口に入れて、ミネステローネ風スープの優しい味で口直しをして、再度ハンバーグにナイフを入れようとすると、どこも欠けてないんだよ。さっき一口食べて、肉汁の名残が口の中に残っているのにだよ。ハンバーグはフットボールのように完璧な形をしているんだよ」
デイヴィットはレタスが少しだけはみ出たサンドイッチを両手に持ってかぶりついた。
さっきから、ガスコンロの火がついていて、ケトルの注ぎ口から熱湯が溢れ、しゅんしゅんと音をたてている。
ブレンダはタバコの火を灰皿でもみ消しながら言った。
「あなたの勘違いよ。デイヴィット」
デイヴィットは、2口目を頬張りながら、向かいに座っているブレンダの顔をピーターラビット柄のマグカップ越しにちらりと見た。デイヴィットはブレンダが60歳に近いというのに、朝起きがけのすっぴんで、10人並み以上の美貌を保っていることが誇らしかった。5段階評価で5ではないが4ではなんとなく低いので、4.5だなとデイヴィットは思った。ところが、10段階評価では9ではなく8でぴったりくる。どうしてだろう。
「さっきの歳の話だけれど・・・」
言いかけたブレンダだが、いまはデイヴィットよりも若かったのか年をとっていたのか、頭の中がごちゃごちゃしている。
「コーヒーに、もうちょっとミルクが欲しいわ」
席を立ったブレンダは上はパジャマを着ているが、下は下着のままだった。ブレンダは去年死んだ愛猫の名前を呼んで、食器棚の上の方に目をやった。
「だめでしょ、そんなところに登っちゃ」
水道の蛇口から水滴がしたたって、ぼたぼたと気だるい音を立てている。→人気ブログランキング

『ハツカネズミと人間』ジョン・スタインベック

アルバート、故郷に帰る』のなかで、主人公の夫婦が工場のストライキの現場でジョン・スタインベックに出会う。また、スティーヴン・キングの『スタンド・バイ・ミー』(新潮文庫)の前説に、中篇集を発刊する経緯が書いてあって、スタインベックの『ハツカネズミと人間』を下敷きにした作品を描いたことがあると書かれている。
それで本書を読んでみることにした。

まるで舞台劇のように場面と登場人物が変わる。
登場人物の立場や役割がはっきりしているところも、舞台劇風である。

ハツカネズミと人間 (新潮文庫)
ハツカネズミと人間
posted with amazlet at 17.03.12
ジョン スタインベック /大浦暁生
新潮文庫 1994年

ジョージは体が小さいが賢い、レニーはでかくて働き者だが利口でない。ふたりの夢は農場を持つこと。レニーはウサギの毛の感触に魅せられていている。レニーがハツカネズミを撫でているうちに死んでしまうが、1週間も捨てられないでいるところを、ジョージにたしなめられる。
ふたりは小さい頃からの付き合いで、利口でないゆえに、なにかと災難に巻き込まれ勝ちなレニーの面倒をジョージがみてきた。
ふたりは農場の渡り労働者として、ある農場に雇われた。
農場主の息子カーリーは、立場を嵩にきていばり散らし、雇い人を殴る機会を狙っているようなヤクザな男である。その新婚の妻が気の多い女で、機会があれば従業員に色目を使っている。

ジョージとレニーは、この農場にいると揉め事に巻き込まれそうだから、給料を手にしたらさっさと出て行くことにした。その判断は正しかった。夫婦が絵に描いたような疫病神なのだ。

仕事で右腕をなくしたキャンディ老人は、保証金をもらい、飯場の掃除して暮らしている。いつものように、ジョージとレニーが農場を持つ夢を語っていると、キャンディ老人が話しに加わり、農場を買う金の一部を出すという。三人は夢を語って盛り上がった。
そこに、カーリーが現れてレニーに難癖をつけ殴りかかる。レニーはカーリーの手を握り潰してしまう。

農夫たちが蹄鉄投げに興じているときに、レニーは黒人の部屋に上がり込んで話し込む。蹄鉄投げに加わらないキャンディ老人も加わって話をしていた。そこに、カーリーの妻が現れレニーを誘惑する。レニーは髪に触らせてもらっているうちに、エスカレートして、女の首の骨を折って殺してしまった。

逃亡したレニーを追うカーリーと農夫たちの先頭にはジョージがいた。
早々とレニーを見つけたジョージはレニーに優しく話しかけ、背後から首の付け根に狙いを定め銃をを撃つのだった。
ジョージはわかっていた。農地を手に入れることなど、実現不可能な絵空事であることを。→人気ブログランキング

『キャリー』スティーヴン・キング

『キャリー』の主人公は、念の力でものを動かすことができるテレキネシスをそなえた、いじめられっ子の少女である。クラスメートのスー・スネルは、シャワールームで陰湿ないじめに加わったことの罪滅ぼしに、自分のボーイフレンドを説き伏せて、卒業パーティでキャリーの相手役を務めさせる。このふたりがキング&クイーンに選ばれて、祝福を受けているとき、意地悪なクラスメートのクリス・ハーゲンセンからまたしてもひどい仕打ちを受ける。キャリーは復讐の鬼と化し、テレキネシスを使ってクラスメートの大半と冷酷な母親を殺し、自分も命を落とす。

以上は、『書くことについて』で著者自身が書いた『キャリー』のあらすじである。
キングのデビュー作とされる本書は3度映画化されている。

キャリー (新潮文庫)
キャリー
posted with amazlet at 17.03.06
スティーヴン キング/ 永井淳 
新潮文庫 1985年

宗教的に狂っている母マーガレット・ホワイトは、悪魔の下僕のような存在である。そもそもキャリエッタ・ホワイトは望まれて生まれてきた子ではなかった。マーガレットは下腹部が膨れてきたのは悪性腫瘍のせいだと思った。やがて天国で待つ夫のもとに行けると信じていた。

マーガレットはキャリーと同じユーイン・ハイスクールの卒業生で、2回停学になっている。停学の理由は、クラスメートを殴ったことと、生徒にダーウィンの進化論を教えた教師に、「イエスは地獄の特別席を用意しておくだろう」と言ったことによる。
マーガレットはキャリーを度を越して厳しく躾け、禁を侵すとクローゼットに閉じ込め祈ることを強制した。

キャリーは体育の授業が終わった後のシャワールームで、初潮を迎えパニックに陥る。初潮のなんたるかを理解していなかった。キャリーをはやしたてタンポンやナプキンを投げつけたクラスメートを制止し、キャリーをなだめたのは体育教師のデジャルダン先生。
キャリーがヒステリーを起こしたとき、ミス・デシャルダンはシャワールームのライトのひとつが消えたことに気づいていた。
本作のテーマは血とテレキネシスである。

クリスの仕打ちに、キャリーはぶち切れた。
チェンバレンの街は、学校は全焼、中にいた教師と生徒たちは焼死。
消火栓はひとりで開き勢いよく水があふれ、消防車が出動しても使い物にならない。ガス本管が爆発し、電線がガソリンに引火し炎を上げた。
ダウンタウン全域が火の海となる。→人気ブログランキング

ダークタワー Ⅱ 運命の3人 下
ダークタワー Ⅱ 運命の3人 上
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