女の機嫌の直し方
本書は脳からみた「目から鱗」の女性論であり、女性とうまくやっていくための男性向け指南書である。女性との付き合い方に悩んでいる男性諸氏にオススメ。
冒頭の一文、〈女は何が厄介って、些細なことで、いきなりキレることだよな。それと、すでに謝った過去の失態を、何度も蒸し返して、なじること。〉は、男が「何で?」と、つねづね思っていることだ。
カバーの著者紹介によれば、著者はAIの研究開発に従事したあと、「感性リサーチ」社を設立し、現在は取締役社長。人工知能研究者、脳科学コメンテーター。
![]() 黒川 伊保子 集英社インターナショナル新書 2017年 |
女性脳は、ことの発端から時系列に経緯を語りながら、そこに潜む真実や心理を探り出している。共感によって話を聞いてもらうと、この作業の質が上がるという。
女性脳には共感が必要だ。
一方男性は、相手が状況を語りだしたら、その対話の意図を探り、素早く解決すべき問題点を洗いだそうとする。優秀な男性脳ほど省エネ型で、枝葉末節にこだわらず、全体をシンプルに捉えようとしているという。これは狩りを行っていた男の性であるという。
女が「地下鉄の階段で転びそうになって転ばなかった話」を長々とすることを、男性は理解できない。なぜなら、転ばなかったのなら、男にとって情報量ゼロの話題なのだ。
女性脳は「怖い」「ひどい」「辛い」などのストレスを伴う感情が起こるとき、そのストレス信号は男性脳の何十倍も大きく働き、何百倍も長くのこるという。共感されるとその余剰な信号が沈静化するという。共感を得るために話題にあげるのだ。
〈男性は、遠くと近くを交互に見て距離感をつかむ。ものの輪郭をいち早くつかみ、その構造を理解する。女性は、比較的近くにあるものの表面をなめるように見て、針の先ほどの変化も見逃さない。〉長らく狩をしてきた性と、子育てをしてきた性に振り分けられた男女のビューセンサーの違いは、ドライブデートで喧嘩の原因になる。
助手席に乗った女性が「そこ右」と言ったとき、彼女は20メートル先の脇道を見ているのに、運転席の男性は50メートル先の交差点を見ている。そこで指示に従わなかったと、女性がキレる。確かにそういうことが過去に何回かあった。
女性は、交尾さえ遂行すればすぐ死んででもいいオスとは、自分の快適(それは子育てにつながる)に対する責任が違うという。女性が感情的になるのであればそれはその脳にとって必要なことだからだ、とまでいう。
女は共感されたい、男は解決したいのだから、解決したいのであれば、男は大いに譲って共感するほうがスムーズにいく。
本書のキーワードは「共感」である。
→人気ブログランキング
« ハドソン川の軌跡 | トップページ | 幸せをつかむ歌 »
「女性論」カテゴリの記事
- 出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと 花田菜々子 (2023.02.15)
- 娼婦の本棚 鈴木涼美(2022.10.15)
- 赤毛のサウスポー ポール・R・ロスワイラー(2022.06.14)
- その名を暴け ジョディ・カンター ミーガン・トゥーイー(2022.06.02)
- プロレス少女伝説 井田真木子(2022.02.01)