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2017年4月11日 (火)

ハドソン川の軌跡

2009年1月15日、実際にニューヨークで起きた航空機事故を、クリント・イーストウッドが、登場人物を実名で登場させて、事故を装飾せず忠実に伝えた作品。
ニューヨークのラガーディア空港を飛び立った直後の旅客機が、鳥の大群に突っ込み両方のエンジンが停止した。ビルが林立するマンハッタンの上空で旅客機の高度はどんどん下がっていく。管制官の「空港に引き返せ」という指示に従わず、サレンバーガー機長(通称サリー/トム・ハンクス)は旅客機をハドソン川に不時着水させた。その結果、乗員乗客155人は全員無事に生還し、機長は英雄として世界に報じられた。
さすがアメリカと思ったものだった。
ところが、機長と副操縦士が、米国家運輸安全委員会の厳しい調査を受け苦悩していたことは、まったく知らなかった。
事故後間もない頃に、登場人物を実名で映画にすることは、日本ではありえないことだ。航空会社も映画製作に協力してるという。真実を忠実に伝えようとする姿勢はハリウッドならではものだ。
Image_20210221092801ハドソン川の奇跡
原題:Sully
監督:クリント・イーストウッド
音楽:クリスチャン・ジャイコブ、ティアニー・サットン・バンド、クリント・イーストウッド
制作国:アメリカ 2016年

もし空港に戻ることが可能だとしたら、誤った判断により乗員・乗客を危険にさらし航空機に損傷を与えたとして、機長は英雄から一転ペテン師の汚名を着せられる。
機長は苦しい胸の内を何回も妻(ローラ・リニー)に電話で話す。

いよいよ、公聴会が始まった。
エンジンが止まってからハドソン川に着水するまでの時間は208秒。
まるでテレビゲームのようなシミュレーションの様子が、リアルタイムに公聴会会場に映し出され、ラガーディア空港に無事着陸できることが映し出した。

機長は調査委員会のメンバーに、「シミュレーションは何回練習したのか」と質問する。
「17回」とメンバーが答える。
「事故に直面したとき、チャンスは1回きりしかない。ゲームとは違う。事故の後、状況を分析して判断を下すまでの時間がかかる」と機長と副操縦士は主張した。
事故から決断までの時間35秒を差し引いて、再度シミュレーションが行われると、旅客機は建物に衝突して爆発した。
公聴会会場には、機長と副操縦士の偉業を讃える拍手が起こった。

DVDのボーナス・トラックには、サレンバーガー機長夫妻と副操縦士や乗員・乗客たちのインタビューが収録されている。
人命を左右する仕事であるから当たり前といえばそれまでだが、機長の仕事に対する真面目な取り組みには脱帽する。
たとえば、機長はこれまでの航空機事故をすべて記憶しているという。さらに操縦中に到着地点の空港の気象を1時間ごとにチェックし、データを修正することを常としていることなどである。
サレンバーガー機長の、42年間に培った高度な操縦術と事故に対する豊富な知識、冷静沈着な判断があり、さらに乗員の的確な指示や対処があったからこそ、全員が無事で生還できたのだ。→人気ブログランキング

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