地球の静止する日 ハリー・ベイツ 他
過去に映画やテレビの素材となった物語を、再度、大手映画会社でリメイクの企画が持ち上がったものを選んだアンソロジー。選者は訳と解説を担当する尾之上浩司。
地球の静止する日 ハリー・ベイツ 他 角川文庫 2008年 |
「地球の静止する日」ハリー・ベイツ
3ヶ月前、旅行船が博物館に現れ、旅行船から主人・クラートゥと巨大なロボット・グナットが降り立った。クラートゥが狙撃されるという、人類にとって恥辱となる事件が起きてしまう。
礼を尽くした葬式が行われたが、グナットはまったく動かなくなり、あまりの重量で動かすこともできなかった。博物館に突き刺さった船もグナットもそのまま展示されている。
写真記者のクリフは、博物館が閉館するまでテーブルの下に隠れていて、館が閉まり誰もいなくなると、グナットの写真を撮った。昨日と今日の2枚の写真を比べるとグナットはわずかに動いているのだ。
やがてグナットは夜になると派手に動き回っていることが分かった。
「デス・レース」イブ・メルキオー
ニューヨーク=ロサンゼルス間カーレースは、最短距離で時間だけを稼ぐレースではない。人を轢殺すと犠牲点が加算される。レーサーのウィリーはメカニックのハンクを乗せて出発した。
着実に犠牲点を加算していくが、ウィリーは犠牲点を稼ぐことを躊躇した。そのことが原因で車中で喧嘩になり事故に。。
「廃墟」リン・A・ヴェナブル
街は破壊されたが、ヘンリーは待望のひとりで本を読める時間を持つことができたと喜んだのもつかの間、次の爆発が起こった。
「幻の砂丘」ロッドサーリング&ウォルター・B・ギブスン
1948年、クリストファーは幌馬車隊の隊長としてオクラホマからカリフォルニアに向かった。途中、水がなくなりかけ、クリストファーが西に向かおうとすると、隊員の大方は引き返すという。クリストファーは水を求めて砂漠の縁に向かった。そこで、クリストファーは時空の歪みに入り込む。
「アンティオン遊星への道」ジェリィ・ソール
ジャーナリストのキース・エラスンは星間移民船に乗ることになった。
今回は2回目。1回目の移民船では暴動が起こり、多くの死者を出した。キースは監視役を頼まれたのだ。
レッドマスクはアタッシュケースを盗み、女を暴行した。
結成された自警団は銃を奪われ金品が盗まれる事件にまで発展したが、レッドマスクは捕まり処刑される。
船内で不満を持ちがちな乗客の怒りをレッドマスクに向けさせ、発散させるために仕組まれた狂言だった。
「異星獣を追え!」クリフォード・D・シマック
ヘンダーソンは逃亡した狡猾で恐ろしい殺戮マシーンの異星獣"プードリイ"を探している。夜明け前に"プードリイ"を探しだして殺さなければならない。幼生を再生してからでは遅い。ヘンダーソンはプードリイが子孫の生産を行う場所として選ぶのは、動物園だと思った。異星獣との壮絶な戦いが繰り広げられる。
「見えざる敵」ジェリイ・ソール
この惑星で、3隻の小型宇宙船と24名の人員をすでに失っているが、戦った痕跡はない。
ラザリが緊張症に罹り暴れ出した。捕縛されたが、隔離部屋の壁に頭を打ちつけて亡くなった。
コンピュータ解析を進めると、アリソンは人間が消えた原因をつかんだ。
アリソンはラザリの葬儀を中止すべきだ、葬儀を行えば参列者が犠牲になると司令官に訴えた。その提言に司令官は従わなかった。
そして惨劇は起こった。
「38世紀から来た兵士」ハーラン・エリスン
第7次大戦のただ中、兵士クァーロはワープして地下鉄のホームに降り立った。目の前で心臓発作を起こした老人を助けようと近づくと、「そいつが撃った」と指さされ、クァーロは捕まった。
クァーロの持っていたブランデルマイヤー(光線銃)が調べられた。継ぎ目のない造りでエネルギーの供給源がなく、遠距離攻撃も可能な武器だった。
クアーロをどうあつかべきか議論される。
「闘技場(アリーナ)」フレドリック・ブラウン
国の戦いを代理戦争で決着をつけようとする話。
カースンは青い砂の上に裸で寝ていた。冥王星の軌道の外側で一人乗りの偵察機に乗っているときに、敵の偵察機と遭遇した。そのあと記憶がない。
気がつくとカースンはドームの中にいた。戦争の仲介者と名乗る声が心の中で聞こえてきた。戦火の上がっていない辺域からお前と侵略者の1人を選び出したという。
勝った者の種族だけが生き残こる。
侵略者の赤い球体がカースンの前に現れた。しかし、弾力性のあるバリアーに隔てられている。
カースンの停戦協定案に対し、球体から強烈な憎悪の思念波が送られてきた。
石が投げ込まれ、カースンと球体の死闘がはじまる。→人気ブログランキング