いかしたバンドのいる街で スティーヴン・キング
飛び跳ねるような饒舌さがキングの文章の魅力だが、それが十分に発揮されているのが「動く指」。キング節爆走といったところ。
いかしたバンドのいる街で スティーヴン キング 文春文庫 2006年 |
「献辞」
息子の処女小説『栄光の炎』がマーサのもとに小包で送られてきた。
かつて、大作家ピーター・ジェフリーズは、黒人の掃除婦マーサが勤めるホテルのスイートルームに必ず泊まり、そこで黄色い原稿用紙に小説を書いていた。
マーサはピーターの本を愛読していて、彼の著作『天上の炎』にサインを頼んだのだった。
2冊の本の献辞の下に、それぞれの著者が直筆で書かれた文字はこよなく似ていた。
「スニーカー」
ハルは音楽プロデューサー。
男子用トイレで汚れたスニーカーを見かけた。
そのスニーカーを履いている奴は誰だ。死体か?
「いかしたバンドのいる街で」
前半は、遠距離ドライブで道に迷った30代の夫婦がくり広げる主導権争いの会話が続く。
引き返そうというメアリーにクラークは男の意地を通す。
クラークとメアリーがたどり着いたところは、「ロックンロール・ヘブン」という町。町の外観はどこかで見たことがあるようだった。
テイクアウトのソーダを買いに2人でロックアブギ店に入ると、そこには、ウェートレスのジャニス・チョップリンらロッカーが数名いた。
財布を取りに車に戻ったクラークが、戻ってこないのでメアリーは不安にかられる。
「自宅出産」
島で暮らすマディー・ベイスは心配性で優柔不断。
そのマディーが結婚して妊娠した。ところが頼りにしていたロブスター捕りの夫が海に放り出されて死んでしまった。
ゾンビがホワイトハウスで、大統領夫妻を生きたまま食べてしまったとテレビは伝えている。そこからキングのドタバタ劇が展開する。
隔離された島でもゾンビ騒ぎが起こり、ゾンビの夫がマディーの目の前に現れる。
「雨期きたる」
ウィローの街では、7年ごとに1日だけ雨期がやってくる。
映画『マグノリア』のように、ヒキガエルが空から降ってくるという。《ファフロッキーズ》という現象。ただ降ってくるのではない、ヒキガエルは人を襲う。
ところで、その町で話しかけてきた老夫婦が飼っている、屁こき老犬・トビーが名脇役として登場する。
トビーで思い出したが、キングの妻タビサ・キングは通称タビーと呼ばれていて、『書くことについて』では、タビーの糟糠の妻ぶりが描かれている。タビー自身も小説家であり、ふたりの間には一女ニ男の子どもがいて、男二人も小説家になっている。息子オーエンの妻ケリーも小説家である。
そんなキング家のインタヴュー記事(Stephen King’s Family Business )が、『New York Times』(2013年8月4日)に掲載されている。→人気ブログランキング
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