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2017年6月26日 (月)

虹蛇と眠る女

北アメリカ、西アフリカ、オーストラリアに伝わる、雨を降らせる虹蛇の神話をモチーフにした作品。ニコール・キッドマンが、母国オーストラリアの作品に出演するのは、25年ぶりだという。
性に奔放な娘が原因で、家族が崩壊する過程をサスペンス・ホラー風に仕上げた作品。娘の性癖は母親から譲り受けたものだった。
50c5d0930c3447c29386df45affe4d23虹蛇と眠る女
監督:キム・ファラント
原題:Strangerland
脚本:フィオナ・セレス/マイケル・キニロンズ
オーストラリア  2015年  111分

オーストラリアの砂漠の小さな町に、マシューとキャサリン夫妻一家が引っ越してくる。引っ越した理由は、娘のリリーが妻子ある教師と関係を持ち、その土地にいられなくなったからだ。
弟のトミーは、新しい環境に馴染めず、夜中に家を抜け出して砂漠を彷徨っている。リリーは両親に反抗し町の不良たちと遊んでいる。

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満月の夜、トミーが家を出て砂漠に向かうと、後を追うようにリリーも家を出ていった。翌朝になっても、ふたりは帰ってこなかった。
翌日から、町をあげての大掛かりな捜索が行われるが、ふたりは見つからない。
砂漠では2~3日で死んでしまうだろう。

精神的に追い詰められた夫婦は、行きすぎた行動をとるようになる。
マシューは、リリーの相手だった教師宅を訪れ大声を出したり、リリーと関係を持ったアポリジニーの青年に暴力をふるったりした。
キャサリンは捜索にあたるベテラン警官レイを誘惑しようとし、さらに、マシューに殴られたアポリジニーの青年に手を出そうとする。
ついには、キャサリンは自らを虹蛇に差し出すかのように、夜の砂漠に出ていく。
翌朝、キャサリンは全裸で街のメインストリートに現れる。ヌードをいとわないニコール・キッドマンの意地のシーンだ。

ところで、タイトルについてであるが、原題は「Strangeland」でなんの面白みもない。邦題の「虹蛇と眠る女」には、言外に微妙な意味が含まれている。「寝る」にすれば性的な意味になるが、「眠る」には性的な意味はなく神秘的な要素が含まれてくる。
核心をつく邦題である。

「リリーのあの性格は、俺には似ていない」
子どもへの遺伝学的な親の責任を、妻のせいにするマッシューのこの一言が、本作のテーマである。
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