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『スノーデン 日本への警告』エドワード・スノーデンほか

2016年6月、東大の講堂で行われたスノーデンの講演と、それに引き続いて行われたパネル・ディスカッションを本に起こしたもの。

まずは、「スノーデン・リーク」とはなにか。
CIAに所属していたエドワード・スノーデンはイラクに対するスパイ活動ののち、NSA(アメリカ国家安全保障局、National Security Agency、アメリカ国防総省の諜報機関)の下請け会社の職員となった。スノーデンがアメリカ政府の内部資料をマスコミにリークし、これを受けて2013年6月からイギリスの「ガーディアン紙」、アメリカの「ワシントン・ポスト紙」などに一連の調査報道が掲載された。アメリカ政府による想像を超える情報収集の実態が明らかにされた。
とりわけ衝撃的なプログラムは次の3つ。
まずは電話の「バルク・コレクション」と呼ばれるもの。NSAがアメリカの電話会社に命じ、国際通信のみならず国内通信を含むすべてのメタデータを毎日提出させるプログラム。メタデータとは「誰がいつどこに電話をかけたか」というもの。通話内容は含まれない。
次はプリズム(PRIZM)と呼ばれるもので、フェイスブック、グーグル、アップルなどアメリカに本社を置く9社のテクノロジー会社に命じ、電子メールやSNSによる通信内容などを提出させるプログラム。
3つ目はアップストリーム(Upstream)と呼ばれるもので、アメリカ本土につながる海底光ファイバーなどにアクセスして、通信情報を直接入手するプログラム。

スノーデン 日本への警告 (集英社新書)
エドワード・スノーデン
青木 理 井桁大介 金昌浩 ベン・ワイズナー 宮下紘 マリコ・ヒロセ
集英社新書   2017年4月

監視が爆発的に拡大したのは、技術的に簡単になり、経済的に格安になったからである。
ホワイトハウスは、独立委員会にNSAのマスサーベイランス・プログラムを検証するように指示した。結果はプログラムは違法であって、終わらせるべきものだというものだった。
10年近くにわたり、3億3000万人の全アメリカ国民と世界中の人々の通信情報を、法的手続きを経ずに収集しながら、テロ捜査にとって有意義な情報はひとつもなかった。膨大な情報を集めてもまったく意味がないことが明らかになった。

2016年5月に、1年前に辞任したアメリカの司法長官、リーク当時、政府の司法部のトップにいた人が、スノーデンのリークは公共のためになったと述べている。
パネル・ディスカッションに参加したスノーデンの顧問弁護士ベン・ワーズナーの言葉が、いまのアメリカの危うさを表している。「トランプ政権前にスノーデン事件があったのは幸運でした」。

では日本の状況はどうかというと、日本のマスコミは危機的状況にあるという。
たとえば政府高官は次のように言う。「この報道は公平ではないように思われます。報道が公平でないからといって具体的に政府として何かをするわけではありませんが、公平でない報道は報道規制に反する可能性があります」とほのめかすだけで、マスコミは尻込みするのだ。

アメリカの内部通報制度は現在うまく機能していないとスノーデンは指摘する。内部通報制度が機能しているとすれば、それは民主主義国家としてきわめて公正だということだ。
スノーデンのリークから見えてくるのは政府は何でもやるということ。日本の共謀罪法案の論議など空論に思えてくる。→人気ブログランキング

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