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『東京藝大』 最後の秘境 天才たちのカオスな日常 二宮 敦人

東京藝大彫刻科出身の著者の妻は、ルーブル美術館の踊り場に展示されている『サモトラケのニケ』を、えんえん5時間以上見続けた。著者はそんな妻が在籍した、生協でガスマスクを売っているという、東京藝大について書こうと思い立った。
いくつかのテーマに分けて、数名ずつの藝大生にインタビューを行っている。

藝大の学生は音楽科と美術科に大きく分けられる。音楽科の学生はきちんとした服装、美術科の学生は奇抜かまったく無頓着かのどちらか。
変わっているという点から見ると美術科の学生の方が圧倒的に変であるという。

音校は順位を争うのが前提になっている世界。音校の学生は自分は見られる側だと知っている。仕送り月50万円の学生もいる。ドレスを借りたり買ったり、パーティ出席して自分を売り込む。楽器の値段は高い。

ピアノ専攻の学生は洗い物をしない。高校生のとき体育は見学。
音楽科をめざす受験生は、藝大で実際に教えている教授あるいは元教授を師匠と仰ぎ、レッスンを受けるのが当たり前なのだ。だから東京まで通う。親には経済的な負担がかかる。
同期のピアノ専攻だけで24人いる。全校で100人、他の音大にもピアノ科があるので、学生だけで500人のピアニストがいることになる。その中で生き残っていかなければならない。
声楽科に属する学生は筋が通ったチャラさを持っているという。声楽科はくっついたり別れたり、恋愛のごたごたが多いという。

美術科の場合はコンクールなどで順位がつくこともあるが、競争意識は音楽科に比べ低い。
学校は環境を整えるだけで、あとは学生次第。彫刻科はそんなスタンスらしい。小さじやテーブルを作ってしまう。自給自足の生活が身についている。
美術科の教授と学生は何が正解かわからないアートの世界でともに切磋琢磨するという意味では、仲間である。そのためか互いの距離は結構近い。

藝大を卒業して食べていけるのか。アーティストとしてやっていけるのはほんのわずか、卒業生の半分は行方不明だという。→人気ブログランキング

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