アンソロジー そば
そばの話は落ち着く。野趣豊な食べ方もあれば、なんの変哲もない日常の食べ方もあれば、上品な食べ方もあるのがそばだ。そばは歴史が語られる。それも室町時代や江戸時代のことだから重みがある。そばには救荒作物という要素もあるから軽くない。
ところで、本書の紙質はわら半紙のようにザラついている。そばの質感をイメージしたのではないかとの穿った見方もできるが、コストを抑えたのかもしれない。ところが、お世辞にも出来がいいとはいえないそばの写真が、キャプションなしでところどころ挟み込まれている。暗かったりピントが甘かったりしているが、これはこれで高度な写真のテクニックが使われているのだろう。カラーだからそれなりの経費もかかるだろう。帳尻があっているのかもしれない。ちなみに写真が載ってるページの紙は裏面はざらざらだが、表面はつるつるしている。
ともあれ、そばは渋い大人がエッセイの題材にする食べ物である。味の濃い ぎとぎとを好む若者向きではない。
本書はそんな書き手が揃っている。
![]() 池波正太郎 ほか PARCO出版 2014年 |
「蕎麦」池波正太郎 「蕎麦に寄り添う」島田雅彦
「並木藪蕎麦 江戸前ソバの原点」杉浦日向子
「浅草 並木の藪の鴨なんばん」山口瞳
「噺家と蕎麦」五代 柳亭燕路 「あほのそばっ食いの最期」町田康
「蕎麦屋」吉行淳之介 「そば命」群ようこ 「いたちそば」東海林さだお
「蕎麦」松浦弥太郎 「そばよ!」川上未映子 「ざるそばの15分」入江相政
「人生はそばとうどん」福原義春 「博多うどん好きのそば狂い」タモリ
「蕎麦すきずき」神吉拓郎 「名月とソバの会」獅子文六
「蕎麦屋の客人」小池昌代 「そば屋で夜遊び」中島らも
「そばの都、東京」尾辻克彦 「新蕎麦ー長月」川上弘美
「母のそば」丸木俊 「映画とそば」田中小実昌
「天おろしそばの日」荷宮和子 「そばという食べ物」吉村昭
「海辺の夕暮れ、至福の蕎麦」山下洋輔 「でっこびかっこび そばの旅」平松洋子
「そばと湯で温まる」川本三郎 「夢見蕎麦」村松友視
「最高の蕎麦」立松和平 「わんこそば」渡辺機恵子
「わんこそば」黒柳徹子 「旅の記憶にまじるもの」佐多稲子
「ソバはウドン粉に限る」色川武大 「ソバの味」太田愛人
「初めてソバを打つ」南らんぼう 「年越しそばと雑煮」大河内昭◯
「蕎麦汁の味」立原正秋 「わが家の年越しソバ異変」檀一雄
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アンソロジー そば/PARCO出版/2014年
アンソロジー カレーライス!!大盛り/杉田純子編/ちくま文庫/2018年
そばと私(文春文庫)
麺と日本人/角川文庫/2015年
アンソロジー 餃子/PARCO出版/2016年
アンソロジー ビール/PARCO出版/2014年
うなぎと日本人(角川文庫)
ずるずる、ラーメン(おいしい文藝)/河出書房新社/2014年
ぷくぷく、お肉(おいしい文藝)/河出書房新社/2014年
つやつや、ごはん(おいしい文藝)/河出書房新社/2014年
ぐつぐつ、お鍋(おいしい文藝)/河出書房新社/2014年
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