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2017年9月

『ラノベ古事記』小野寺 優

ウェブデザイナーの著者は古事記が大好きで、ライトノベル風訳古事記のサイトを立ち上げたところ、「わかり易い」と評判になった。
古事記は天武天皇の命を受けて、天才の語り部・稗田阿礼の頭の中にある日本の伝承を、太安万侶が記述し、元明天皇(天智天皇の娘)に献上したもの。

本書は、元明天皇に古事記を献上するところからはじまる。
『ラノベ古事記』の編集ミーティングの場面。
「えぇと?・・・天地初發之時於高天原成神名天之御中主神訓・・・解読するのに、35年くらいかかりそう・・・ラノベみたいに面白おかしく読みたいのよ」と献上された古事記をめくりながら元明天皇が言う。
「献上した古事記の内容は無視していいですよ・・・神様たちに勝手に変なキャラ付けしてふざけても怒りません。なんなら盛っちゃってください」と安万侶。
「おぉ!そうか、それなら得意だ。任せろって‼︎」と阿礼。
阿礼が脱線したりふざけすぎたりするのを、安万侶が制御しながら、『ラノベ古事記』は執筆されていった。

ラノベ古事記 日本の神様とはじまりの物語
ラノベ古事記
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小野寺 優
KADOKAWA
2017年7月    ☆☆☆☆☆

「山幸彦と海幸彦」の章で、オオワダツミノカミ(海の神)が山幸彦(アマテラスの三つ子の曾孫ひとり)に出会って声をかける。
「かなり前になりますが、アマテラス様から『三つ子の曾孫が生まれました」って、写真付きの年賀状が送られてきましたよ」と、限りなく軽く、盛られたエピソードが語られる。
神々がいい男かそうでないか美人かブスかの見たくれが大問題なのだ。男女が出会うとすぐに惚れた腫れたの展開となり、まぐあうという、エロ満載である。

あまりの軽さで、『古事記伝』を書いた本居宣長も小津安二郎(宣長の子孫)も眉をひそめているに違いない。また古事記を研究テーマにしている国文学のお歴々は苦虫を噛み潰しているだろう。ところが古事記にはこの軽さがピタリとくる。著者の慧眼といえるだろう。→人気ブログランキング

『フロスト日和』 R.D.ウィングフィールド

スマートな捜査手法のアレン警部と、行き当たりばったりの危なっかしい捜査をするフロスト警部のせめぎ合いがテーマ。
前の勤務先で上司を殴って左遷され警部から刑事に降格された髭面ウェブスター刑事が、フロスト警部の下につく。ウェブスターはもちろん不貞腐れている。
ウェブスターは、アレン警部は文句なしの一流の警察官であり、一晩排水溝で過ごしたとしか思えないような風体のフロスト警部と比べること自体が、間違っていると思っている。

フロスト日和 (創元推理文庫)
フロスト日和
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R・D・ウィングフィールド/芹沢恵 訳
創元推理文庫
1997年10月

公衆トイレに男の死体が発見され、つづいて覆面の連続婦女暴行魔が6人目の女を襲った。老人がひき逃げされ病院に収容された。車はナンバープレートを現場に落としていった。金持ちの15歳の娘が友達のと一緒に映画を見に行ったあと、帰宅後行方不明となっていた。
そんなおり、娯楽センターで5000ポンドが強奪される事件が起きる。

重要な事件はたとえフロストが手がけていても花形警部のアレンに担当が変更なり、どうでもいい事件や、捜査がうまくいかなければ出世に不利となりそうな事件はフロストに回ってくるのだ。
捜査から外されようと、マレット署長やアレン警部が嫌みを言おうと、ウェブスターが制止しようと、真夜中過ぎであろうと、フロストは思いついたら行動をおこす。そんなわけで、ストレスフルなフロストは、所かまわずタバコに火をつける。フロストは超過勤務の連続で、睡眠不足で疲労困憊の状況にある。それが読者にも伝染し読者は疲労困憊してしまう。

フロストの捜査手法は、クラッシュ・アンド・ビルド。つまり立てた仮説が次々に外れていく。それでも結局はフロストが事件を解決するのだ。→人気ブログランキング

フロスト始末
クリスマスのフロスト
フロスト日和
夜のフロスト
冬のフロスト
フロスト気質
夜明けのフロスト

クイズ番組

デイヴィット・ダゲットは、夫婦間のいざこざでは決して引き下がらなかったといっていい。間違っていようがいまいが自説を押し通す。それは深く誓ったことのように頑なだった。
己が法律だと思っている傲慢な男に性根を変えさせることは不可能に近い。デイヴィットは強引さをあくまで押し通すつもりでいたのだが、ここ数年はちょっとばかり事情が違ってきた。旗色が悪くなってきたのだ。
妻のエリーは物事を順序どおりに進める慎重派で、新聞をじっくり読むし雑誌も深く読む。ベストセラーは欠かさず購入してきた。そんな積み重ねの甲斐があって、いつの間にか物知りになっていた。たとえば地球温暖化問題について短期的な見方もするし、地球の歴史という大局的な見地に立つこともできた。歳をとりすこし体重が増えた分、知識も大いに増したといったところだ。
エリーが〈別にあんたと結婚しなくたって、引く手あまただったんだから〉と心の中でつぶやくようになったのは、最近のことだ。エリーは若かりし頃につき合っていた男たちを思い出しながら、出かかった笑みを口に手を当てて隠した。ちょっと遅かったかもしれない。食卓についたデイヴィットが眉間にしわを寄せてエリーを一瞥した。
「なにか言いたいことがあるの」
「いや、別に」
デイヴィットはテレビのニュース番組に目をやった。番組が終わりに近ずいて天気予報が流れてる。数日の雨は明日には上がり、明日からは爽やかな秋晴れの日が続くと、いう。最近、中年の男性から代わった若い女性天気予報士が媚を売るかのような口調で話している。

ダゲット家のダイニングキッチンは、大きなL字のテーブルの一端が壁に固定してあって、その壁を背にソニーの薄型45インチテレビが置かれている。いつの頃からか、食事中にテレビをつけるのが習慣になってしまった。
テレビを見ながら食事をすることは行儀が悪と、エリーは何回も主張してきた。デイヴィットはテレビを見ながら食事をすることが当たり前の家庭で育った。というより、テレビにスイッチを入れるのは、食事のときとその後のちょっとしたくつろぎの時間に限られていた。
デイヴィットは非難されても、テレビを見ながら食事をすることがなぜ行儀が悪いのか理解しようとしなかった。食事にだけ集中してガツガツ食べるほうがよっぽど動物じみていて、行儀が悪いと反論したこともあった。
食事は生物の命をいただく神聖な儀式、テレビは娯楽、それを一緒にするのは生命を冒瀆する野蛮人の行為というのが、エリーが育ったメソジストの生活が染み込んだ家の方針であった。
エリーの主張に、デイヴィットは、むさぼるように食べる、むさぼるようにセックスする、むさぼるように眠るというように、本能的な行為はむさぼるものだと、胸を張って説得力に欠ける自説を展開した。さらに、石器時代の話を持ち出して、本来食事は生命を維持するための動物の本能であり、神聖とは程遠いものだと反論したものだった。

今夜は7時から人気クイズ番組がある。
番組がはじまり、MCの女性コメディアンがテンポよく回答者を紹介していく。細身の黒のスーツに身を包みグレイの髪をショートカットにした中年のコメディアンは、出で立ちからしてレスビアンである。何年か前にレスビアンであることをカミングアウトしたことで、しばらくの間テレビから姿を消していたが、アカデミー賞の司会に抜擢され、軽快なトークで大物俳優たちを自在に操りながらの絶妙の進行ぶりが高く評価された。いまや、売れっ子MCとして引く手あまたである。

「では、さっそく問題です」
デイヴィッドはステーキをほうばりながらテレビ画面に目をやる。
「面積が世界第5位をほこる国はどこでしょう?」
デイヴィットは付け合わせのマッシュポテトを口に運ぼうとして、
「ブラジルだよ」
と小声で言う。
「あのさー。テレビを見ながら食事をする人はどれくらいいると思う」
「わかからないわよ」
テレビでは女性MCが言う。
「面積が5位の国はブラジルです。3人ともに正解です。これは幸先がいい」
「あのね、テレビをつけながら食事をするのは4割だってさ」
「そんなに多いの。意外だわ」
エリーは「こぼしすぎだろう」と言おうとするのを飲み込んだ。
「とくに夜の7時から8時は、50%の比率だって、国民生活時間調査の報告書が出てるんだよ」
「びっくりだわ」

デイヴィットの両親は雑貨屋を営んでいて、食事時は交代で店番をしなくてはならなかった。だからデイヴィットの家では食事は手早く済ませるもので、テレビは食事時に見るものであった。

「では問題です。世界の三大テノールをお答えください」
「えーと、プラシド・ドミンゴ、ルチアーノ・パヴァロッティ、ホセ・カレーラスだったかな」
エリーがぼそりとつぶやく。
「さて、いかがでしょうか。正解は、パヴァロッティ、ドミンゴ、ホセ・カレーラス です。またしても3人ともに正解、お見事です。いやー、よく勉強してるね」
3人の回答者の顔がクローズアップされ、MCは驚いた顔を作る。
「クラシックはさっぱりわからないよ」
デイヴィットはエリーを見て言う。
「たいしたもんだな」
「3人ともCDもっているから」
エリーは食事を中断して、テレビの画面に映る三大テノールが歌う映像に見入っている。
「フルネームで答えなけりゃ、正解じゃないでしょう」
小声で言った。
「で、さあ。今テレビを消すってのはどうかな」
デイヴィットはサラダをむしゃむしゃやって笑いながら言った。
エリーは思い出した。結婚したばかりの頃、ふたりでチェスに没頭したことがあった。はじめはデヴィッドが勝ち続けたが、1週間もするとエリーが勝つようになった。ある日の対戦で形勢不利となったデイヴィットは、チェス盤をひっくり返したのだった。それ以来ふたりがチェスをやることはなくなった。
「冗談だよ」
いくつになってもこの男には年相応の分別というものが身につかないなと、エリーは思いながら、サラダのトマトを口に運んだ。

「では、最終問題、超難問です。キャデラックのふたつの背びれはなぜつけられたのでしょうか?」
「えーっ」
デイヴィットがすっとんきょうな声をあげる。
「キャデラックの背びれだって?」
「車を買い替えさせるため、売るためじゃないの」
エリーが口を出す。
「車を買い替えさせるためにモデルチェンジを繰り返し、技術の進歩を怠ったせいで、日本車に負けた。それが、自動車産業の衰退の大きな要因なのよ」
エリーはデイヴィットに説明する。
「さて、3人のお答えは。スピードを上げるため。走行を安定させるため。とくに意味はない。3人とも不正解です。正解は販売促進のため、売るためです」
デイヴィットはエリーがステーキを頬張る姿を眩しそうに見つめながら言った。
「エリーが番組に出てりゃ、賞金をごっそりいただきだったな」

『フロスト始末 上下 』R.D.ウィングフィールド

今回はフロスト警部の左遷がテーマ。マレット署長と新任のスキナー主任警部はフロストの署からの追い出しを画策する。
ガソリン代のちょろまかしがばれ、フロストの悪運もここまでかと思わせる展開になる。数字を書き変えた給油領収書の束が州警察本部に提出されれば、フロストは退職処分になるかもしれない。
スキナーに転勤依願書のサインを迫られるフロストの運命やいかに?

フロスト始末〈上〉 (創元推理文庫)
フロスト始末〈上〉
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R・D・ウィングフィールド
芹沢恵 訳
創元社推理文庫
2017年6月 ✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎
フロスト始末〈下〉 (創元推理文庫)
フロスト始末〈下〉
posted with amazlet at 17.09.12
R・D・ウィングフィールド
芹沢恵 訳
創元社推理文庫

犬がくわえていた足首がデントン署に持ち込まれ、金持ちの少女が行方不明となり、別の少女もいなくなる。赤ん坊が誘拐され、食品に毒物を混入されたスーパーマーケットは恐喝犯の餌食になり、さらに若い女性の腐乱死体が発見される。
いくつもの事件が持ち上がるなか、スキナーはフロストの手柄をかっさらおうとし、根性のねじくれたマレットは責任をフロストに押し付けようと小細工する。

いつものことだが、何も解決していないというのに、てんてこ舞いのフロストのもとに、容赦なく次々と事件が舞い込でくるのだ。
ところが、意地の悪いスキナーはフロストを捜査から外したり、さんざん嫌がらせをした挙句、肝心なところでやり残した仕事があると古巣に舞い戻ってしまう。

卑猥な冗談がお得意のフロストは、超がつく愛煙家でそこらじゅうに煙草の灰を撒き散らし、吸い殻のポイ捨ての常習犯である。仕事に関しては己の能力の限界まで働くというスタンスだ。というより、次々に持ち上がる事件に対し、身を粉にしてふらふらになるまで働かないと追いつかない。フロストの事件を扱うプライオリティは、上司が強要するものとは異なる。あくまでフロスト流の順番で動くのだ。

不潔な風体でインモラルなフロストだが、
〈いやしくも人の上に立つものは、気が進まない仕事を気が進まないという理由で、下位の者に押しつけてはならない。それが上の人間の仁義というものである。〉という部下たちの信頼を得るに十分な、心意気がフロストにはある。
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『「ストーカー」は何を考えているか』小早川明子

犯罪被害学によると、ストーキングとは、正当な理由なく故意に悪意を持って繰り返し相手をつけまわし、待ち伏せや監視などによって意思を伝達しようとすることで、相手に不安感や恐怖を与える行為。
著者は今までに500人のストーカーと向き合ってきた。

ストーカー被害の半分は女性というデータがあるが、被害を受けている男性は警察に届け出ないことが多い。男性ストーカーが女性のプライベートな空間を攻撃することが多いのに対して、女性ストーカーは男性の公的な場面を狙う。

「ストーカー」は何を考えているか(新潮新書)
小早川 明子
新潮社新書 2014年4月

用もないのに1日5回以上もメールをよこすような人とは付き合わないほうがいい。メールを出した相手から3日待っても返事がなければ、好かれていないと理解すべき。「5回ルール」と「3日ルール」は、著者がカウンセリングにくる人に提案していること。

重要なのは、危険行動をどうやって見分けるかである。加害者がどの程度危険な精神状態にあるかを見抜くこと。
ストーキングすることによって心理的報酬を得ようとする「ストーキング依存症」と、妄想的な恨みの感情に支配され、殺意を肯定するまでに至っている「ストーキング病」に分けて、異なる対応をする。
ストーカー病の因子として自己愛性反社会性パーソナリティ障害が挙げられていて、医学的な治療を要する場合もある。

ストーキング行為は3段階に分けられる。1.マナー違反、2.不法行為(民事訴訟相当)、3.刑事事件。
さらに、ストーカーの心理レベルでの危険度とその対応についても、3段階に分けられる。1.リスク(可能性):「やり直したい」などの場合は「当事者同士」で解決する。2.デインジャー(危険性):切迫したメール、待ち伏せなどの場合は、「第三者の介入」が必要である。3.ポイズン(有毒性):脅迫メール、住居侵入などの場合は、「警察力」に頼るしかない。ポイズンの段階になると、殺人や自殺にまでエスカレートする可能性がある。

ストーカーに対してどう対応するのか未だ手探りの状態であるが、ストーカーによる殺人やストーカーの自殺を防ぐためにも、ストーカーの病理の解明と理解、法律の見直しが必要である。 →人気ブログランキング

『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』ケント・ギルバート

アメリカ人だから見える嫌中国・嫌韓国論。
国際ルール無視の中国、手のひら返しと告げ口外交の韓国、ならず者国家の北朝鮮、これら特亜三国の非常識ぶりは際立っている。
その根幹には歪んだ儒教思想があるというのが著者の主張。中国と韓国では、儒教の先祖崇拝や家族愛ばかりが尊重され、仁義礼智信の道徳心や倫理観が欠落している。私や一族の利益のためなら何をしてもよいという風潮がある。

儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇 (講談社+α新書)
ケント・ギルバート
講談社+α
2017年2月

中国は国際法という公のルールを守ることよりも、自国だけの利益を追求することの方が重要だと考えている。もともと中国人は国境という概念が薄い。中国こそが世界の中心(中華思想)であり、周辺の国々は属国と考えている。

朝鮮も儒教の強い影響下にあった。中国には媚びへつらい、日本には優越感をもつ華夷秩序を重んじるようになった。
事大主義(自分の信念をもたず、支配的な勢力や風潮に迎合して自己保身を図ろうとする考え方)の韓国は、常に優勢な勢力を選んで接近しナンバー2の地位にいようとする。
韓国社会は自分が努力してのし上がるよりもライバルの足を引っ張る傾向が強いという。

慰安婦問題も南京大虐殺も靖国神社の政府高官参拝反対も、日本の足を引っ張り貶めようとする二国の謀略に過ぎないとする。

日本は中国や韓国とは逆に、儒教思想の仁義礼智信という道徳的なところを取り入れた。日本人のメンタリティの根底には武士道がある。日本人の誠実さ、寛容さ、勤勉さは世界が認めるところであり、それを貶めようとするのが、特亜三国なのである。→人気ブログランキング

米国人弁護士だから見抜けた日本国憲法の正体/ケント・ギルバート/角川新書/2017年
儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇/ケント・ギルバート/講談社+α新書/2017年