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『ラノベ古事記』小野寺 優

ウェブデザイナーの著者は古事記が大好きで、ライトノベル風訳古事記のサイトを立ち上げたところ、「わかり易い」と評判になった。
古事記は天武天皇の命を受けて、天才の語り部・稗田阿礼の頭の中にある日本の伝承を、太安万侶が記述し、元明天皇(天智天皇の娘)に献上したもの。

本書は、元明天皇に古事記を献上するところからはじまる。
『ラノベ古事記』の編集ミーティングの場面。
「えぇと?・・・天地初發之時於高天原成神名天之御中主神訓・・・解読するのに、35年くらいかかりそう・・・ラノベみたいに面白おかしく読みたいのよ」と献上された古事記をめくりながら元明天皇が言う。
「献上した古事記の内容は無視していいですよ・・・神様たちに勝手に変なキャラ付けしてふざけても怒りません。なんなら盛っちゃってください」と安万侶。
「おぉ!そうか、それなら得意だ。任せろって‼︎」と阿礼。
阿礼が脱線したりふざけすぎたりするのを、安万侶が制御しながら、『ラノベ古事記』は執筆されていった。

ラノベ古事記 日本の神様とはじまりの物語
ラノベ古事記
posted with amazlet at 17.09.30
小野寺 優
KADOKAWA
2017年7月    ☆☆☆☆☆

「山幸彦と海幸彦」の章で、オオワダツミノカミ(海の神)が山幸彦(アマテラスの三つ子の曾孫ひとり)に出会って声をかける。
「かなり前になりますが、アマテラス様から『三つ子の曾孫が生まれました」って、写真付きの年賀状が送られてきましたよ」と、限りなく軽く、盛られたエピソードが語られる。
神々がいい男かそうでないか美人かブスかの見たくれが大問題なのだ。男女が出会うとすぐに惚れた腫れたの展開となり、まぐあうという、エロ満載である。

あまりの軽さで、『古事記伝』を書いた本居宣長も小津安二郎(宣長の子孫)も眉をひそめているに違いない。また古事記を研究テーマにしている国文学のお歴々は苦虫を噛み潰しているだろう。ところが古事記にはこの軽さがピタリとくる。著者の慧眼といえるだろう。→人気ブログランキング

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