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『ヒトは「いじめ」をやめられない』中野信子

いじめは人類の進化にとって必然であるという。
人間は共同体を作る戦略で生き延びてきた生物種。社会的排除は人間という生物種が、生存率を高めるために進化の過程で身につけた機能であるというのが、著者の意見である。

社会集団にとって最も脅威になるのは、フリーライダーの存在。フリーライダーとは、協力行動をとらない、邪魔をする人、ズルをする人。
フリーライダーを見つけた場合は、制裁行動を起こして排除しようとする機能が脳に備え付けられたという。

ヒトは「いじめ」をやめられない (小学館新書)
中野 信子
小学館新書  2017年10月
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向社会性とは社会のために何かしよう、他人のために役立とうと行動する性質のこと。この向社会性が高まりすぎると、除外感情の高まりと制裁行動が発動すべきでない時に発動してしまう。
これがいじめが発生する根源にあるメカニズム。
集団が持っている正義と個人が持っている正義が対立したときに、個人の倫理観は集団の正義に乗っ取られてしまう。

相手を攻撃することは通常あまり良くないことだと理性的には理解しているが、人間の脳はその理性的なブレーキを上回るほど攻撃することによる快感を感じるようにプログラミングされている。

いじめが多いのは小学校高学年から中学2年生の頃。この時期から脳内ではブレーキ機能といえる前頭前野が育ってくる。ブレーキ機能が成熟するのは30歳前後。
子どもは無邪気で天使のような心を持っていると考えるのは、大人たちの懐古趣味的な幻想である。子どもは成熟していないヒトであるという現実を認識する必要がある。

いじめの対応策を考える上で、いじめは常にある、人の集まるところには必ず起こりうるという意識を持つことが大切である。不寛容は理性や知性によって克服できるはずだと考える人がいるかもしれないが、脳の仕組みからそれは極めて困難である。
この自己を認識する力がメタ認知力である。メタ認知力を身につけることができる環境づくりが、いじめ防止・抑止につながるのではないか。→人気ブログランキング

ヒトは「いじめ」をやめられない/中野信子/小学館新書/2017年
サイコパス/中野信子/文春新書/2016年

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