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『宇宙探偵 マグナス•リドルフ』 ジャック・ヴァンス

本短篇集に収録されている作品は、主に1948年から1952年に発表されたと「訳者あとがき」で紹介されているが、古さを感じるどころか斬新ですらある。訳者の才も関係すると思うが、AIすら存在する現在に斬新と感じられるのは、時代を先取りするアイディアがそこらじゅうに散りばめられているからだ。

宇宙探偵マグナス・リドルフ (ジャック・ヴァンス・トレジャリー)
ジャック ヴァンス
浅倉久志・酒井昭伸  訳
国書刊行会
2016年

マグナス・リドルフは、白髪・白髭でスラリとした体型の哲学者然とした中年過ぎの男。悪党どもは「老いぼれ山羊」と陰口を叩く。
頭脳明晰で、身に降りかかる難題や危機を、常人なら想像だにしない方法で切り抜ける。それだけでは収まらず、悪人どもに再起不能のダメージを与えて締めくくる。
マグナス・リドルフは、分不相応な巨額の投資を行い投資した分を回収できないことがしばしば。収支はいつも赤字で、金をかせぐためにTCI(地球情報局、テレストリアル・コー・オブ・インテリジェンス)に依頼される、非公式エージェントとしての活動する。言ってみれば宇宙をまたにかけたその日暮らしの探偵稼業である。

登場するのは、魑魅魍魎のごとき異星人と人間。
異星人たちの奇怪な姿がなんとも不思議な味わいを醸し出す。
意表をついた奇妙ながらリアルな異世界を舞台に、異星人たちと癖の強い人間たちが織りなす物語には、著者特有の気障な風あいが加味されている。→人気ブログランキング

収録されているのは以下の10篇。
「ココドの戦士」「禁断のマッキンチ」「蛩鬼乱舞」「盗人の王」「馨しき保養地」「とどめの一撃」「ユダのサーディン」「暗黒神降臨」「呪われた鉱脈」「数学を少々」

『スペース・オペラ(ジャック・ヴァンス・トレジャー)』ジャック・ヴァンス/国書刊行会/2017年
宇宙探偵マグナス•リドルフ』ジャック・ヴァンス/国書刊行会/2016年
『天界の眼:切れ者キューゲルの冒険』ジャック・ヴァンス/国書刊行会/2016年
『奇跡なす者たち』ジャック・ヴァンス/国書刊行会/2011年

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