行動分析学入門 杉山尚子
行動分析学は、1930年代にアメリカの心理学者バラス・F・スキナーによって創始された心理学の1分野である。本書はスキナーの行動分析学をもとに、著者らが独自に発展させた行動分析学の入門書である。
では、行動とはなにか?
スキナーは「行動とは生体のもつ機能の中で外界に働きかけ、外界と交渉を持つもの」と定義している。また、スキナーの弟子であるオージャン・リンズレーによれば、「死人にはできない活動のこと」。
![]() ―ヒトの行動の思いがけない理由 杉山尚子 集英社新書 2005年 |
行動とそれがもたらす効果の関係を行動随伴性と呼ぶ。この行動随伴性によって行動を捉えることこそが、スキナーの行動分析学の根幹をなすものである。
では、行動随伴性とはなにか?行動の後に起こる、あるいは行動と同時に起こる状況の変化である。
行動の基本的な原理を「レスポデント行動」と「オペラント行動」に分類する。レスポデント、オペラントはスキナーの造語。
「レスポデント行動」とは刺激に対する反応をいう。例としては、目にホコリが入ると涙が出る。別名、古典的条件づけ、またはパブロフ型条件づけ。
「オペラント行動」とは、行動の原因は後にある。例としては、メガネをかけるとよく見える。別名、道具的条件づけと呼ぶ。
著者自身のエピソードも交えて、わかりやすく解説している。
ところで、チョムスキーは、バラス・スキナーの著書『言語行動』に対して批判論文を書いたことにより、その名を広く知られるようになった。→人気ブログランキング
チョムスキーと言語脳科学/酒井邦嘉/インターナショナル新書/2019年
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