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2017年11月30日 (木)

知立国家 イスラエル  米山伸郎

イスラエルは1948年の独立当初、人口が60万人程度だったが、積極的な移民受け入れ政策により現在は868万人となり、さらに増加している。

歴史上、カナンの地(パレスチナ)から追い出されたユダヤ人は、ヨーロッパ各地にディアスポラとして移り住んだ。ユダヤ人は、欧州で賤業とされていた金融業のほか、医師、弁護士、会計士などにつき、さらには仕立て屋や靴屋などの手工業を主な職業としてきた。
ロシアはかつて最大のユダヤ人居住国であり、アシュケナージ(ドイツ人という意味)と呼ばれるロシア東欧系ユダヤ人は優秀な頭脳をもっていた(なぜIQが高い遺伝子が育まれたかについては、『言ってはいけない』〈橘 玲著〉に記載されている)。

Photo_20201208083401知立国家 イスラエル
米山 伸郎
文春新書 2017年

イスラエルは、インテル・プロセッサー、 グーグル・サジェストという機能、ページ解析、ライブ・リザルツ、ファイヤー・ウォール、ドローン、電気自動車などの、最先端の科学技術を世界に提供してきた。

「起業家精神」と「イノベーション」はイスラエルの建国の精神であり、イスラエルを発展させてきた原動力といっていい。
イスラエルにイノベーションをもたらしているのはなにか?
それは、移民、ユダヤ人特有の自由な議論を尊重する文化、軍よる理数系エリートの選抜教育といった要素が考えられるという。

イスラエルはユダヤ人の移民を多数受け入れてきた多民族国家である。
資源はない。あくまで人が資源なのだ。
イスラエル人のアイデンティティはヘブライ語と国防である。かろうじて聖職者が書き言葉として使っていたヘブライ語は、ほぼ死語になっていた。それを2000年の時を超えて蘇らせた。国家ビジョンが確立されている国である。
イスラエルの帰還法は「ユダヤ人の母から産まれた者、もしくはユダヤ教に改宗し他の宗教を一切信じない者」をユダヤ人と定義している。

18歳になると、男は3年、女は21~22ヶ月の兵役につく。記憶力、繊細さ知性、性格など、さらに体力、リーダーシップで振り分けられる。
この兵役のあいだに、国防の重要さを徹底的に身につけ、さらに人脈を得るのだ。
軍には、毎年30人程度の理工系最優秀人材を選抜して教育するプログラムがある。

イスラエル人は、質問好きで議論好きである。ルールを守るよりは合理的な方を選ぼうとする。
失敗を恐れない、むしろ糧とするメンタリティは恐れ入るが、性格的には自己主張が強すぎるきらいがあり、人と摩擦を起こしやすいという。→人気ブログランキング

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