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『大人のお作法』岩下尚文

著者はTVで「ハコちゃん」の愛称で親しまれている日本の伝統文化評論を専門とする作家。TVでは若い男優に抱きついたりして剽軽な行動をとっているが、本書ではきりりとした日本男児らしさを見せている。
本書は妻子もちの編集者が著者に、お茶屋の作法、食べ物のこと、歌舞伎や日本の風習、芸術論、社交術、スーツの誂え方などを訊ねるという形をとっている。
歌舞伎や浄瑠璃の台詞や芸妓たちが使う古い言い回しや粋な言葉がふんだんに使われていて、心地いい。

大人のお作法(インターナショナル新書) (集英社インターナショナル)
大人のお作法
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食べるときは、食器を汚さぬよう、洋食でも和食でも食べた後の器を綺麗にして返すように。箸の先を汚さぬように心がければ、取りこぼすこともなくなるし傍目から見ても美しい。家で独りの食事をするときも、背筋を伸ばして膳に向かうという心がけを忘れてはいけない。
以前、伊奈かっぺいが、子どものころ納豆ご飯を茶碗を納豆で汚さずに食べて母親に褒められていたと誇らしげに語っていたことがあった。食器を汚さずに箸先を汚さずとは、伊奈かっぺいのこの極意のことだろう。
昨今、喰べ物に限らず何かと自分の好き嫌いを声高に話す人が多いが、子供染みて見苦しいと苦言を呈する。食ブログのことだ。

作り手と受け手のあいだが曖昧であること。それが日本文芸の特徴であるというのが著者の持論。たとえば歌舞伎は、踊りをやっている娘や奥様や芸者衆が、役者に熱を上げた。踊りがどうだとか見えの切り方がどうだとか、役者と客の距離が近かった。
今の日本人が思い浮かべる芸術はだいたいにおいて鑑賞芸術になり、机上の知識を物差しとしてガラス越しに観察し分析し解釈し理解したつもりにならずにはいられない、そんな頓珍漢な有様になっていると嘆く。

人との間の取り方をこころえ、上下関係に気配り・目配りをし、集団のなかで空気を読むことが重要であるというのが、著者の考え。→人気ブログランキング

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