著作権法は時代遅れとなり、新しいルール作りが必要となった。その際、金持ちや政治家などの都合のいい内容にならないように、「みんなの著作権」という意識を持つことが大切だと説く。ネットやSNSの発達により、著作権と向き合って生活せざるをえなくなった一般の人びと、特に大学生向けに書かれている。
著作権(copyright)とは、「無断で私の作品を利用するな」と言える権利であり、コピーする権利である。
極端なことをいうと、レストランで自分のスマホで店員に集合写真を撮ってもらうと、写真の著作権は店員にある。写真を公開するには店員の許可が必要である。
正しいコピペのすすめー模倣、創造、著作権と私たち
宮武 久佳 岩波ジュニア新書 2017年 |
ではどのようなものに著作権が認められないのか。
自動車の車体や服装のファッションなどは、工業デザインや応用美術に含まれるひとつの形態とみなされ、著作権の対象ではない。ナイフやフォーク、ボールペンと同じ。
料理はアイデアであり著作権はない。
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」は、議論はあるが、著作権はないとされる。だれが書いても同じような文章になってしまうからだ。
著作権法の例外規定として、個人が使用する目的でコピーする場合のほか、公共性・公益性が高い、学校教育の現場、図書館サービス、福祉の現場、報道目的などでの使用がある。
たとえ個人使用であっても、映画のDVDのようにコピープロテクトがかけられていたり、パスワードが設定されたりするソフトについては、プロテクトを外したりすることは違反行為である。
著作権は著作者の死後60年、映画70年。因みに特許権20年、商標権10年。欧米の著作権は現在70年。日本に延長が迫られている。著作権が切れると、パブリックドメイン(公共財)となる。
大学教員の著者は、学生のレポートのコピペに否定的な理由として次を挙げる。
学生が考えることなく他人の考えを鵜呑みにしてしまう、どこからが他人の意見で、どこからが自分の意見か不明瞭になりがちである。他人の作品にフリーライドする違法行為である。
いま多くの大学がコピペ答案を見破る「コピペ監視ソフト」を導入しているという。学生間のペーパーで似たものを探し出す機能もある。抑止力を期待して、課題を出すときに「コピペ監視ソフト」を使うと宣言しているという。
上手なレポートを書く秘訣は、課題の意図を見極め、知らないことを知ろうとする好奇心にあるとする。よくわからない課題が出たら好奇心を高めることが大事。知らないものは書けないのだから、知る努力が必須である。
正しいコピペの仕方は、〈①自分のコンテンツとの脈絡において必要性があること、②自分のコンテンツにパーツとして取り込むこと、③自分の作った部分と引用部分がカギカッコなどによって明確に区別されていること、④自分の作った部分と引用部分のメインとサブの関係が明確であること、そして、⑤一字一句正確にコピペし、引用部分の出所を明示すること。〉→人気ブログランキング
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