誰も教えてくれなかった「源氏物語」の面白さ 林真理子×山本淳子
本書が発刊された2008年は「源氏物語千年紀」の年だった。
紫式部が「紫式部日記」の中で、若紫や源氏について書いたのが1008年であることが根拠となっている。
貴族の数は、紫式部が活躍した摂関時代の最盛期で200人程度、家族を入れても1000人程度の狭い世界だったという。
平安朝文学の研究者・山本淳子と林真理子の対談集。
誰も教えてくれなかった『源氏物語』本当の面白さ 林 真理子 山本 淳子 小学館新書 2008年 |
〈「源氏物語」は、帝四代70年にわたる歴史小説であり、光源氏と藤原氏をめぐる政治サスペンスであり、六条御息所が躍如するオカルトミステリーである。
「源氏物語」の54帖は、ボリュームは400字詰原稿用紙2300枚、登場人物のべ4百数10人という壮大なもの。
第1帖「桐壺」から第33帖「藤裏葉」までが、源氏の誕生と栄光を描く第1部。第34帖「若菜上」から第41帖「幻」までが、中年光源氏の憂いと老いを描いた第2部。第42帖「匂兵部卿」から第54帖「夢浮橋」までが、源氏の死後、宇治を舞台に光源氏の孫たちが活躍する「宇治十帖」を中心とする第3部、という構成になっている。〉
なお、「桐壺」や「空蝉」などの帖のタイトルとなっているのは、紫式部がつけたものではなく、後世の人々によってつけられたもの。
空蝉は紫式部自身がモデルという説がある。年の離れた受領(ずりょう)の後妻となった点、空蝉が身を寄せる家が紫式部が実際に住んでいたとされる場所に近いということなどが根拠である。ちなみに、受領とは現地に赴任して行政の責任を負う役人の呼称。
また、源氏のモデルは第59代・宇多天皇(867〜931)、桐壺帝は第66代・一条天皇(980〜1011)、桐壺の更衣は皇后定子ではないかという。
受領の妻であった紫式部は、藤原道長にスカウトされ道長の娘の彰子に仕えたことで運が巡ってきたと言える。
紫式部と清少納言は直接会ってはいないが、互いに大いに意識し、それぞれの著書の中で相手をけなしている。
「源氏物語」を原文で読むことは研究者でもない限りむずかしい。
それゆえ、与謝野晶子、谷崎潤一郎、円地文子、田辺聖子、橋本治、瀬戸内寂聴、大塚ひかり、そして最近は角田光代によって、現代語訳がされている。→人気ブログランキング
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『紫式部の欲望』 酒井順子/集英社文庫
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