ストラディヴァリウス 横山進一郎
著者は写真家、ヴァイオリン制作者。
ストラディヴァリが作った現存する楽器は約600本。著者はそのうち300本に実際に出会い、100本以上を撮影してきた。
1987年、北イタリアのクレモナで、ストラディヴァリ没後250年祭が行われた。クレモナはイタリア北西部ロンバルディア州南部の小都市、ミラノの南東部80キロにある。人口7万人、南西部にイタリア最大のポー河が流れている。ヨーロッパの乾燥したイメージとは違い湿っぽいところ。
アントニオ・ストディヴァリは、1642年に生まれ、93歳で亡くなった。
12歳で家具職人に弟子入りし、16歳でヴァイオリンづくりの名匠であるニコロ・アマティに弟子入りした。23歳の頃結婚し、4男2女に恵まれた。
50歳になる頃にはかなりの金持ちになっていたようで、当時ロンバルディア地方で、「ストラディヴァリのようなお金持ち」という言葉が流行語となり、半世紀以上も使われていたという。
妻がなくなり再婚し、新たに4人の息子と1人の娘が生まれた。
この再婚の55歳から76歳頃までの20年間にストラディヴァリは楽器製作の黄金期を向かえた。
ところがクレモナの貴族たちは、こうしたヴァイオリン職人たちの活躍を快く思わなかった。
なぜ、今もってストラディヴァリウスを超えるヴァイオリンが作れないのか。
様々な研究が行われ推論がなされているが、結論はストラディヴァリが飛び抜けた技量を持った天才職人であったことに尽きる。
ストラディヴァリウスは、演奏家にとっては「弓を弦に乗せて動かすだけで、音が流れ出る」、聴者にとっては「一音一音があたかも自分だけのために弾いているように聴こえる」という。
ストラディヴァリウスの保有数は、国別では、イギリス、アメリカ、日本の順番であり、日本には約70本ある。
日本音楽財団は単体でストディヴァリウスを所有する世界一の団体となった。こうした団体が楽器を有望な演奏家に貸与し援助していることは、演奏家にとっても楽器にとっても喜ばしいことだという。楽器は他の美術品と違って生きていることが大事だ。→人気ブログランキング
ストラディヴァリとグァルネリ/中野 雄/文春新書/2017年
ストラディヴァリウス/横山進一郎/アスキー新書/2008年
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