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2018年2月

2018年2月27日 (火)

家康、江戸を建てる 門井慶喜

相模国石垣山の頂での、秀吉と家康との有名な「連れしょん」の場面から物語は始まる。秀吉は家康に駿河から関東への国替えを命じた。部下たちは反対したが、いやと言えるはずもない。家康は快諾したふりをした。
家康は武州千代田の地にある江戸城を根城にするという。当時、江戸は古びた江戸城とわずかの漁民しかいない寒村で、あたり一面が低湿地であった。
江戸を大阪のようにしたいと家康は言う。
ここから江戸を都市として機能させる、空前のプロジェクトが始まる。
Image_20201225152801家康、江戸を建てる
門井慶喜
祥伝社
2017年

まずは、湿地をどうにかしなければならない。そのためには、川の流れを変える利根川東遷を行う必要がある。
貨幣を作らなければならない。金の純度が高く信用される小判を造り、日本橋に鋳貨工場を置いた。
飲み水は七尾(井の頭)から上水道を引いた。城の外堀と交差するところには水道橋を造った。
日本中のどの城の石垣をも凌駕する石垣を造らねばならない。石は伊豆から船で運んだ。

江戸に入府して17年、66歳の家康は純白の天守閣から江戸の街を見下ろしている。
雨が降れば水浸しになってしまう、どうしょうもなかった湿地が、今では一大開発現場となっている。何十万人もの人間が生活している江戸が眼下に広がっている。
これからも江戸は絶えまなく変わっていくのだろうと家康は思う。
本書の主人公は、江戸を整備し都市として独り立ちさせた人びとである。→人気ブログランキング

新撰組の料理人/門井慶喜/光文社/2018年
マジカル・ヒストリー・ツアー/門井 慶喜/角川文庫/2017年
銀河鉄道の父/門井 慶喜/講談社/2017年
家康、江戸を建てる /門井慶喜/祥伝社 2017年

2018年2月23日 (金)

銀河鉄道の父 門井慶喜

宮沢賢治の父・政次郎を通して賢治の生涯を描いた作品。
大人になりきれない賢治に、厳しいんだか甘いんだか、政次郎は過度に干渉したり突き放してたりして接した。
政次郎自身は中学に進みたかったが、「質屋に学問は必要ねぇ」と言う父親に従った。
その反動か、政次郎は、毎年夏に花巻に浄土真宗の講師を招いて講習会を開き、その資金的な面倒を長年みていたのだ。
第158回直木賞(2017年度下半期)受賞作。
Image_20201106170501銀河鉄道の父
門井 慶喜
講談社
2017年 ✳︎10

賢治は尋常小学校の頃は神童と呼ばれたが、盛岡中学では成績が中より下だった。賢治が進んだのは政次郎が期待した一高や仙台二高ではなく、盛岡農林高等学校だった。卒業すると研究員として残った。
それまで、賢治が望んだ職業はイリジウム探し、次は飴工場、そして人工宝石製造であった。荒唐無稽な夢を追いかけようとしていた。政次郎はもちろん許可しない。

突然、賢治は日蓮宗系の宗教団体・国柱会に入会したと言い出した。
代々宮沢家が信仰してきた浄土真宗ではない。そして連夜、政次郎と賢治の激論と喧嘩腰の怒鳴り合いが続く。要するに、賢治は誰かにかまってほしいのだ。

賢治は国柱会に奉仕する目的で上京するが、7か月後に妹トシが病気なって、大きなトランクを下げて、花巻に戻ってきた。トランクには、東京で書いた原稿がどっさり入っていた。
2歳年下のトシに対する賢治の態度は兄妹愛を超えたものがあった。病気の介護と称して、トシのもとを訪れる。「通い婚みてだな」と末娘のクニが言うのを、政次郎は内心その通りだと思った。

雑誌に賢治の童話が掲載された。なんで童話なのか。賢治は子どもなら相手に出来るが大人はできない。自分は質屋の才能がなく、世渡りの才がなく、強い性格がなく、健康な体もなく、おそらく長い寿命がないと思っている。

トシはどんどん弱っていく。子どもの頃のように、賢治は童話を作ってはトシに読んで聞かせた。
トシはみぞれの降る日に亡くなった。
トシの臨終の床に賢治がいなかったのは、「あめゆじゅとてきてけんじゃ」というフレーズが出てくる「永訣の朝」というタイトルの詩を書くために、席を外したことを政次郎は見抜いていた。

そして賢治は結核で病床に伏した。町会議員も辞め質屋も閉めた政次郎は、賢治専属の秘書のようになった。→人気ブログランキング

新撰組の料理人/門井慶喜/光文社/2018年
マジカル・ヒストリー・ツアー/門井 慶喜/角川文庫/2017年
銀河鉄道の父/門井 慶喜/講談社/2017年
家康、江戸を建てる /門井慶喜/祥伝社 2017年

2018年2月19日 (月)

セブンーイレブン 黄金の法則 吉岡秀子

今やコンビニは全国で5万5千店舗、飽和状態にあるという。
9割の店舗を、セブン・イレブン、ファミリーマート、ローソンで占めている。2016年度、セブン・イレブンは2万店舗あり、コンビニ市場の総売上の40%を越え、チェーン全店売上は約4兆3000億円、1店舗の平均売上げは66万円/日、ファミリーマートやローソンより10万円以上も多い。
創業からトップを走り続けている秘訣はなにか。過去に成功したものを人はなかなか変えることができないが、セブン・イレブンは逆である。ヒット商品こそ変えなければならないという危機感を持っているという。
ちなみに、本書の値段は、711円+税。

本書は書き手の溢れるばかりのエネルギーを感じる。それは取りも直さず、セブン・イレブンという企業の姿勢なのだと思う。

Photo_20210609083301セブン-イレブン 金の法則   ヒット商品は「ど真ん中」をねらえ
吉岡秀子
朝日新書 
2018年

まずは、商品開発担当・MD(マーチャンダイザー)の仕事の紹介している。MDの資質は次のように定義されている。好奇心、徹底力・継続力、謙虚さ、コミニュケーション力、誠実さ、責任感、リーダーシップ。これらが揃っていれば、どんな企業でも出世するだろう。
セブン・イレブンのものづくりは仮説と検証によるという。仮説を検証して前に進むという方針である。

各章は、「セブンカフェ開発による革命」「おにぎりの見直し・麺革命」「スイーツ、コスメ開発」「サンドイッチとカット野菜の鮮度」「和菓子のチルド化」「セブン・プレミアム」について、商品開発の奮闘の軌跡が綴られている。

ほぼ毎日、セブン・イレブンで買い物をする。やむおえない場合は、ファミリーマートやローソンに行くこともあるが、結局セブン・イレブンのレベルの高さを再認識することになる。→人気ブログランキング

2018年2月16日 (金)

地下鉄道 コルソン・ホワイトヘッド

南北戦争を数10年後にひかえたアメリカの南部諸州が舞台。アメリカの暗黒の歴史を、SFの要素を加味して描き出す。

女奴隷のコーラは、シーザーに誘われてラヴィーとともにランドル農場を脱走した。途中で野豚狩りの白人たちに出くわしラヴィーが捕まった。コーラは逃げおおせたが、少年と格闘したさいに重傷を負わせ、白人殺しのお尋ね者として手配されることになった。
ランドル農場の主人は、シーザーとコーラの2人に高額の懸賞金をかけ、執拗に連れ戻そうとする。捕まれば、他の奴隷たちの見せしめに、とびきり派手な拷問と死が待っているのだ。コーラの想像を絶する過酷な逃亡劇が描かれていく。

Image_20210104093701地下鉄道
コルソン・ホワイトヘッド/谷崎由依 訳
早川書房
2018年

コーラはアフリカから連れてこられて3代目の奴隷で、身寄りがない。母のメイベルが8歳のコーラを置き去りにして農園から脱走したからだ。メイベルは未だに捕まっていない。
コーラをはじめ、脱走を持ちかけたシーザー、サウス・カロライナでコーラに隠れ家を提供した白人の妻エセル、2メートル近くもある大男の奴隷狩り人リッジウェイの、ファミリー・ヒストリーが綴られている。ファミリー・ヒストリーが描かれることによって、物語に深みが出ている。
リッジウェイがコーラを執拗に追いかけるのは訳がある。ランドル農場で脱走を成功させた唯一の人間がコーラの母親である。コーラが引き継いでいる特別な血を、根絶やしにする必要があるのだ。

地下鉄道には、駅があり機関士と呼ばれる人物がいて、機関車が走っていることになっている。しかし、実際には鉄道があるわけではなく、地下鉄道は逃亡奴隷たちを逃がすためのネットワーク(秘密結社)のことである。ネットワークにかかわっていることが知られてしまえば、処刑される。
地下鉄道に乗ることができたからといって、奴隷州から脱出できるとは限らないが、地下鉄道は逃亡奴隷にとって北に逃れる唯一の手段なのだ。

ピューリッツァー賞、全米図書賞、アーサー・C・クラーク賞受賞作。さらに英ブッカー賞の候補でもあった。
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2018年2月13日 (火)

ノーベル賞の舞台裏

1968年の川端康成のノーベル賞受賞について、受賞の50年後に公表された資料によると、まず三島由紀夫が候補者としてあがり、次の年に谷崎潤一郎そして川端康成と候補が入れ変わっている。推薦者は日本ペンクラブであったり、ハーバード大教授であったりしている。
ノーベル賞の裏話が満載。

「ハルキ狂想曲」が始まったのは、村上春樹がカフカ賞を受賞した2006年。
村上は、アカデミー会員の奥さんたちの間では評価が高いが、肝腎の選考委員の間ではあまり評価されていないと、大いに皮肉っている。一般大衆の高い人気と文芸評論の専門家の間での人気のなさのギャップが大きいらしい。
文学賞の場合は地域性が考慮されるというから、2017年に日系のカズオ・イシグロが受賞したので、村上春樹は当分ないということだろうか。

Photo_20210213084601ノーベル賞の舞台裏
共同通信ロンドン支局取材班
ちくま新書 
2017年

ノーベル賞は、ダイナマイトを発明したアフレッド・ノーベル(1833~96年)の遺言によって、1901年に始まった。物理学、化学、医学生理学、文学、平和、経済学よりなる。

当局がノルウェーとスウェーデンにあるのは、1900年にノーベル財団の設立法令がスウェーデン兼ノルウェー国王によって公布され、1905年にノルウェーとスウェーデンは同君連合を解消したが、授与機関は変更されなかったためである。
経済学賞はスウェーデン国立銀行の設立300周年を記念して、1968年に始まった。経済学賞は批判が多く、身内のノーベル財団からも「ノーベル賞ではない」とされている。
また、すべての科学に母と称される数学賞がないのは、生前ノーベルが著名な数学者と喧嘩したからだといわれている。

韓国(ノーベル賞1個)は、ノーベル賞に対して過熱気味であり焦りがある。中国(3個)はマイペースで長期戦で王座を狙おうとしている。日本(23個)は中韓に水を開けているが、さらにその差を広げようと政府が力をいれている。3国は今後もノーベル賞受賞で対抗心を燃やし続けるだろうという。
中韓との比較すると日本の留学者数の少ない現状が、将来のノーベル賞の数に影響してくるのではないかと執筆陣は危惧している。

平和賞の選考によって、世界の政治情勢に手を突っ込むようなことが、幾度か起こっている。
その例は、ダライ・ラマや中国の民主化運動家・劉暁波の受賞がそうであった。また2012年にはEUが受賞している。
「オバマは見どころがあるから、平和賞をあげて応援しよう」というノーベル賞側の意向は無残な空振りに終わっている。
2014年に平和賞を受賞した、パキスタン人のマララ・ユスフザイは、欧米主導の演出されたヒロインとの批判がある。

日本はノーベル賞に関して加熱しすぎと当局から指摘されている。マスコミのノーベル賞に対する過剰な報道を煽っているのが、自分たちであるという反省も語っている。→人気ブログランキング

2018年2月 8日 (木)

おらおらでひとりいぐも 若竹千佐子

本書のタイトルは、宮沢賢治の詩集『永訣の朝』の中に収められている詩の一節からきている。死にゆく妹への想いを詠んだ詩「あめゆじゅとてちてけんじゃ(雨雪を取ってきてちょうだいの意味)」のなかで、妹が発した言葉「Ora Orade Shitori egumo」からとった。詩ではこの言葉だけがローマ字になっている。

本書は、青春小説と対照的な玄冬小説であるという。玄冬とは古代中国の五行思想で冬のこと。ひとりで生きていく意味を自問自答し続ける桃子さんの心のうちを描いた作品。東北弁がことのほか効果的に使われている。

Photo_20201104143901 おらおらひとりいぐも
若竹千佐子
河出書房新社 
2017年 ✳10

東京オリンピックのファンファーレを背中に聞いて東北から上京した24歳の桃子さんは、食堂の住み込みとして働きはじめた。客として現れた周蔵と、東北弁がきっかけで付き合い結婚をした。娘と息子に恵まれふたりを育て上げた。ところが早くに最愛の夫を亡くしてしまい、今はひとりで暮らしている。

73歳の桃子さんは標準語を使っていたが、この頃は頭の中で東北弁が溢れている。東北弁をしゃべるいくつもの柔毛突起が、頭の中であれこれ意見を出す。桃子さんは理詰めで物事の意味を考えたいタイプだ。こころの中では結構多弁なのだが、現実の他人の前では失語症を患う人のように何もしゃべれない。

夫が死んで、それまで現実の世界しかないと思っていたが、夫が行った「別の世界」があると思えるようになった。
タイトルの「おらおらでひとりいぐも」は、「夫のいる別世界に行く」と捉えるのが順当だが、「これからもひとりで生きて行く」という桃子さんのささやかな決意にとることもできる。もはや青春のように、前に突き進むような威勢のいい状況ではないのだ。

桃子さんは、周蔵の死を悲しんでいるばかりでなく、喜んでいる自分もいることに気づいた。
ひとりで生きてみたかった。それを周蔵がはからってくれた。それが周蔵の死を受け入れるための意味だと桃子さんは考えた。
第158回芥川賞受賞作(2018年1月)。→人気ブログランキング

2018年2月 5日 (月)

ファインダー・キーパーズ 上下 スティーヴン・キング

上巻の後半から私立探偵のホッジスが登場し、タイトルのファインダーズ・キーパーズはホッジスが開いた探偵事務所の名称であることが明らかになる。ホッジスは前作の『ミスター・メルセデス』で、事件を解決にもっていった探偵だ。
ホッジス3部作の第2作目。
Jouファインダーズ・キーパーズ
スティーヴン・キング /白石朗訳
文藝春秋
2017年
Photo_20210609084001ファインダーズ・キーパーズ
スティーヴン・キング
文藝春秋

モリスは独り暮らしの超人気老作家・ロススティーンの寝込みを襲って殺害し、150冊のノートと現金を奪った。それらを鞄に詰めて木の根元に埋めた。ところがモリスは不覚にも強姦罪で終身刑となってしまい、35年後にやっと仮釈放される。保護観察下にあるモリスは小説が書かれているノートを手にしようと行動を開始する。
長い間回り道してきたが、もうすぐ人生の本流に戻れると思っている。

前作で、メルセデス・キラーが引き起こした事件(市民センターで催される就職フェアの開場を待っていた行列にメルセデスが突っ込んだ)によって、ピートの父親は脚を骨折し脚を引きずるようになり、ソウバーズ家は経済的に困窮していた。
ピートは、何者かが木の根元に埋めたカバンを偶然に見つけ、ノート150冊と封筒に入った現金を手に入れた。
ピートは毎月匿名で自分の家に送金することを思いついた。その送金のおかげで、ソウバーズ家はまともな家庭になっていった。封筒の現金が底をつき仕送りを停止せざるを得なくなったとき、ピートは妹ティナが志望する学校に転校するために、ノートを売って現金に替えようと模索する。
ティナはピートの様子がおかしいと感じていた。

ティナがピートのことをホッジスに相談したことで、『ミスター・メルセデス』の登場人物たちと、本作の主人公たちに接点が生まれ、緊迫の場面が続く後半に進んでいく。→人気ブログランキング

ファインダー・キーパーズ
ミスター・メルセデス
ジョイランド
11/22/63
ダークタワー IV1/2 鍵穴を吹き抜ける風
ダークタワー IV 魔道師と水晶球 下
ダークタワー IV 魔道師と水晶球 上
ダークタワー III 荒地 下
ダークタワー III 荒地 上
ダークタワー Ⅱ 運命の3人 下
ダークタワー Ⅱ 運命の3人 上
ダークタワーⅠガンスリンガー
書くことについて
ミザリー
キャリー   キャリーDVD
幸運の25セント硬貨
ビッグ・ドライバー
1922
第四解剖室
神々のワード・プロセッサ
夕暮れを過ぎて
いかしたバンドのいる街で
スタンド・バイ・ミー(DVD)
ジェラルドのゲーム
ドランのキャデラック

 

2018年2月 1日 (木)

風神雷神 柳広司

秀吉が催した醍醐の花見(1598年 慶長3年)からはじまり、宗達が醍醐寺の依頼の屏風を描き上げ、花見をむかえるところで終わる。
宗達はふたりの人物によってその才能が開花させられた。ふたりとは、万能の文化人・本阿弥光悦と公卿の粋人・烏丸光広である。

京の扇屋・俵屋の養子である宗達は、20歳を超えたというのにぼんやりしていて、絵付け職人としてはとびぬけて秀でているが、客あしらいがなっていない。そんなアスペルガー症候群的な性癖である。
Photo_20201113142601 風神雷神 風の章

柳 広司
講談社
2017年
Photo_20201113142602 風神雷神 雷の章

 

 

本阿弥光悦から書籍の下絵の依頼を受け、嵯峨本の制作に携わる。
嵯峨本とは、紙師宗仁が提供する高級和紙に、宗達が下絵を描き、光悦の文字を配した製本書籍のこと。嵯峨本は、世界でも類を見ない美しさを備えた製本書籍と、今もなお称えられている。

光悦は、家康から洛北鷹峯の地を拝領し、本阿弥一族や町衆、職人などの 仲間を率いて移住した。宗達も誘われたが、断って俵屋の後を継ぐことにした。
宗達が店を仕切るようになると、俵屋は大いに繁盛した。そして、俵屋は屏風絵、絵巻、掛物、貝絵、カルタなど、何にでも絵付けする絵屋に生まれ変わった。
ある日、宗達の前に烏丸宏光が現れた。宗達は烏丸に連れられて公家の家に上がり込み、秘蔵の名品を見せてもらい模写した。烏丸のおかげもあってか、公卿屋敷や寺社から注文がくるようになった。
やがて、絵師として最高位の「法橋」の位を授かった。

醍醐寺から花見の時に使う二曲一双の屏風の注文を受けた。宗達は2年の猶予を願い出、隠居した。納期に間に合わせ絵を仕上げたあと、発作に見舞われて亡くなった。
仕事場に、誰も見たことがない構図の「風神雷神」の屏風が残されていた。そこには落款も署名もなかった。

本作では、3人の女性が宗達と関わる。初恋の女性・出雲の阿国、宗達が密かに心を寄せる光悦の娘・いく、そしてすべてをお見通しの妻・みつ。観桜の日、3人が連れ立って醍醐寺に現れる。→人気ブログランキング

【絵師が主人公の歴史小説】
風神雷神』柳広司 2017年
北斎まんだら』梶よう子 2017年
眩(くらら)』朝井まかて 2016年
『ごんたくれ』西條加奈 2015年
ヨイ豊』梶よう子 2015年
若冲』澤田 瞳子 2015年
北斎と応為』キャサリン・ゴヴィエ/2014年
フェルメールになれなかった男』フランク・ウイン 2014年
東京新大橋雨中図』杉本章子 1988年

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