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『銀河鉄道の父』門井慶喜

宮沢賢治の父・政次郎を通して賢治の生涯を描いた作品。
大人になりきれない賢治に、厳しいんだか甘いんだか、政次郎は過度に干渉したり突き放してたりして接した。
政次郎自身は中学に進みたかったが、「質屋に学問は必要ねぇ」と言う父親に従った。
その反動か、政次郎は、毎年夏に花巻に浄土真宗の講師を招いて講習会を開き、その資金的な面倒を長年みていたのだ。

銀河鉄道の父 第158回直木賞受賞
銀河鉄道の父
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門井 慶喜
講談社
2017年9月 ✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎
売り上げランキング: 168

賢治は尋常小学校の頃は神童と呼ばれたが、盛岡中学では成績が中より下だった。賢治が進んだのは政次郎が期待した一高や仙台二高ではなく、盛岡農林高等学校だった。卒業すると研究員として残った。
それまで、賢治が望んだ職業はイリジウム探し、次は飴工場、そして人工宝石製造であった。荒唐無稽な夢を追いかけようとしていた。政次郎はもちろん許可しない。

突然、賢治は日蓮宗系の宗教団体・国柱会に入会したと言い出した。
代々宮沢家が信仰してきた浄土真宗ではない。そして連夜、政次郎と賢治の激論と喧嘩腰の怒鳴り合いが続く。要するに、賢治は誰かにかまってほしいのだ。

賢治は国柱会に奉仕する目的で上京するが、7か月後に妹トシが病気なって、大きなトランクを下げて、花巻に戻ってきた。トランクには、東京で書いた原稿がどっさり入っていた。
2歳年下のトシに対する賢治の態度は兄妹愛を超えたものがあった。病気の介護と称して、トシのもとを訪れる。「通い婚みてだな」と末娘のクニが言うのを、政次郎は内心その通りだと思った。

雑誌に賢治の童話が掲載された。なんで童話なのか。賢治は子どもなら相手に出来るが大人はできない。自分は質屋の才能がなく、世渡りの才がなく、強い性格がなく、健康な体もなく、おそらく長い寿命がないと思っている。

トシはどんどん弱っていく。子どもの頃のように、賢治は童話を作ってはトシに読んで聞かせた。
トシはみぞれの降る日に亡くなった。
トシの臨終の床に賢治がいなかったのは、「あめゆじゅとてきてけんじゃ」というタイトルの詩を書くために、席を外したことを政次郎は見抜いていた。

そして賢治は結核で病床に伏した。町会議員も辞め質屋も閉めた政次郎は、賢治専属の秘書のようになった。→人気ブログランキング
第158回直木賞(2017年度下半期)受賞作。

銀河鉄道の父/2018年
家康、江戸を建てる/2017年

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