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『西城秀樹のおかげです』森 奈津子

表紙カバーの椅子に腰掛けたセーラー服の少女とその右手に持っている器具を見れば、本書の内容はおよそ想像がつく。性倒錯や同性愛をテーマに、あっけらかんとした陽気な内容のSF短編集である。第21回(2000年)日本SF大賞にノミネートされた。
著者はクィア理論の実践者だという。クィア理論とは、性的マイノリティ(LGBT)から見て、性的マジョリティの考え方が正しいかを疑ったり、歴史上、クィアがどのように扱われてきたかを分析したりする理論のことである。クィアとは「queen」のことで、「奇妙な」という意味。
本書はそのクィア理論をまさに実践する内容である。

西城秀樹のおかげです (ハヤカワ文庫JA)
森 奈津子
ハヤカワ文庫JA
2004年

「西城秀樹のおかげです」
地球が殺人ウイルスに襲われ、残されたのは日本人の男女2人だけ。
なぜ2人だけが生き残ったのか?当時日本で流行っていた「YMCA」を歌っていたからだという。元の楽曲は米国で男性ゲイを鼓舞する歌だという。そして、2人は人類の未来を決める選択を迫られる。
「哀愁の女主人、情熱の女奴隷」
地球行きシャトルの事故で亡くなった兄夫婦から、時子が受け継いだのはいくばくかの財産とアンドロイドのハンナ。10歳の遺児・絵美里を慰めるようとハンナに命ずるが、ハンナは兄夫婦に寵愛されたセクサロイドだった。
「 天国発ゴミ箱行き」
若い男は死後の世界にいる。人生プランナーが3通りの来世を男にプレゼンテーションするが、その中に、本書の著者・森奈津子の人生が含まれたという、自虐ネタ。
「悶絶!バナナワニ園!」
苦痛こそが快楽のマゾヒストの囚人の話。
「地球娘による地球外クッキング」
庭に洗面器ほどのUFOが落ちてきた。親指ほどの緑色の宇宙人の死体が2体。宇宙人をテンプラにして食べようとする。
「タタミ・マットとゲイシャ・ガール」
地球で最後の金髪の女吸血鬼が罠にはまり、電脳空間で蚊にされてしまう。蚊は山田家に忍び込み若い娘の血を吸い、もとの姿に戻ろうとする。
「テーブル物語」
天板の四角に女性器、脚に男性器が彫刻されたテーブルの物語。
「エロチカ79」
「後生だから」とは、呪縛プレイのはじまりの言葉であった。→人気ブログランキング

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