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『絶滅の人類史 なぜ「私たち」が生き延びたか』更科 功

最近、遺跡の発掘と科学技術の発達、とりわけ遺伝子解析により、人類の来し方が解明されつつあるという。最古の人類は700万年前にアフリカで誕生している。その後、25種類もの人類がいたが、ヒト以外は滅びてしまった。その理由は何かが本書のテーマである。

人類の特徴は二足直立歩行と犬歯の縮小だという。
立位二足歩行は食料運搬を可能にさせ、高度な協力関係の土台となった。犬歯が縮小したのは争いが少なくなったからだという。
チンパンジーの男女比が4〜10:1、チンパンジーより争いが少ないボノボでは2〜3:1、ヒトでは1:1になる。ヒトには発情期がないから、争いはより少なく平和になる。
人類が生息していた疎林では、食べ物を手に入れるために、長い距離を歩かなければならない。それに二足歩行は有利だった。ホモ・エレクトゥスの時代に、歩き回ることが必要とされたため、発汗して体温を下げようと毛が薄くなったという。体毛がふさふさか体毛がほとんどないかの違いは、毛穴の数はそれほど変わらないが、毛の濃さと長さが違うだけだという。

絶滅の人類史―なぜ「私たち」が生き延びたのか (NHK出版新書)
更科 功
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人類と同じ時期に何種類もの哺乳類がアフリカからユーラシアへ移動している。
約180万年前にホモ・エレクトゥスかその近縁種がアフリカからユーラシアに出て、生息範囲を広げた。それは人類が世界中に進出する第一歩となった。
ホモ・エレクトゥスがアフリカの外に広がったあと、アフリカで新たな人類が誕生した。ホモ・ハイデルベルゲンシスである。ヨーロッパに出て行ったホモ・ハイデルベルゲンシスからネアンデルタール人が進化し、一方、アフリカにとどまったホモ・ハイデルベルゲンシスからホモ・サピエンスが進化した。

ネアンデルタール人の脳の容量は平均1550ccで、人類史上最高である。一方、1万年ぐらい前までのホモ・サピエンスは1450cc、現在のヒトの脳は1350ccである。現代人は、使わない部分が整理されて脳の容量が減少したという。
脳は体の2%の重量で、体全体で使うエネルギーの20〜30%が必要であると言われている。むやみに脳が大きくないほうがいいのだ。

2010年にはネアンデルタール人のゲノムの60%が決定された。その結果ネアンデルタール人とホモ・サピエンスが交雑していたことが明らかになった。ホモ・サピエンスはネアンデルタール人以外の人類ととも交配している。ネアンデルタール人とホモ・サピエンスは7000年にわたって共存していた。
ネアンデルタール人の物語は約30万年前に始まり約4万年前に終わる。ネアンデルタール人は、ホモ・サピエンスに比べ体が大きく、脳容量も多かったから、1.2倍の食料が必要だった。ネアンデルタール人は、寒冷な環境とホモ・サピエンスの出現によって絶滅したのだろうという。

ホモ・サピエンスは子孫を多く残すことができた。なんでも食べることができた。どこでも生きていけた。社会性があった。身体的な強さだけでなく衣服のような文化的工夫も行うことができた。それらにより生き残ることができたのだ。→人気ブログランキング

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爆発的進化論 1%の奇跡がヒトを作った/更科功/新潮新書/2016年

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