男のチャーハン道 土屋 敦
パラパラチャーハンを家庭で作るという至上命題のもとに、文献を渉猟し、プロに教えを請い、創意工夫のもとに試行錯誤を繰り返す。パラパラチャーハンに対する批判にも丁寧に反証しながら、鍋の種類、鍋の温度、ご飯の量、ご飯の状態、油の量、卵の量、混ぜ方、ネギの量、炒める時間などを徹底的に検証する。
男のチャーハン道 土屋 敦 日本経済新聞出版社(日経プレミアシリーズ) 2018年 |
そもそもパラパラがもてはやされたのは、食漫画『美味しんぼ』(第4巻1985年)からだという。1990年代のテレビ番組『料理の鉄人』に出演した周富徳がきっかけとなり、チャーハンは中華鍋をあおって作るというイメージが定着していった。中華鍋でご飯を空中に上げたときに、業務用ガスコンロの炎が直接ご飯を包み、水分を飛ばすといわれた。
では、業務用のコンロの火力がなければ、パラパラチャーハンは作れないという「強火神話」は本当か?
家庭用コンロでは、ご飯を投入すると鍋の中の温度が急激に下がる。これを解消すれば、なんとかなると著者は考えた。鍋の温度を230度から250度以下に落とさなければいいことに気づく。ちなみに温度は赤外線センサー付き温度計で計る。
次は玉子コーティングについて。著者が調理関係の書籍を調べた限りでは、1980年代より前つまり1990年代になるまで、玉子コーティングの記述はないという。
あらかじめご飯と卵を混ぜてから炒めるというやり方もあるが、食感はパラパラというよりポソポソ。パラパラチャーハンに卵は必要だが、卵コーティングは重要な要素ではない。
ご飯は、炊きたてはだめで、硬めに炊く必要はない。炊いてから5時間保温したものがいい。前もって、ご飯230gを600W2分20秒電子レンジにかけ温め、かつ水分を飛ばしておく。217gになり水分が5%減った。
インディカ米を使えば苦労せずパラパラになるが、あくまでジャポニカ米にこだわる。
卵も40度のお湯に8分つけて温めておく。
たどり着いた調理の手順は、まず、中華鉄鍋が350℃になったところで、大さじ1杯の太白ごま油を入れ、卵を投入する。ご飯を入れ鍋はあおらない。中華おたまと中華ヘラを使ってまぜる。中華ヘラでフライパンの壁にご飯を押し付ける方法がいい。塩2.1〜2.6gを入れる。粗みじんの白ネギ20gを火を止める寸前に入れる。炒め時間は2分20秒。→人気ブログランキング
男のチャーハン道/日経プレミアシリーズ /2018年
男のパスタ道/日経プレミアシリーズ(日本経済新聞出版社)/2014年
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