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『虎よ、虎よ!』アルフレッド・ベスター

アイデアがこれでもかというくらい盛り込まれていて、ストーリーはかなり強引に進む。1956年に発表されたSFの古典。
スティーヴン・キングは、『ジョウント』というタイトルで、テレポテーションに関するSFホラーの短編を書いている。本書に敬意を払うかのように、作中で『虎よ、虎よ!』について言及している。『神々のワードプロセッサー』(扶桑社ミステリー文庫 1988年)、『ミスト 短編傑作選』(文春文庫 2018年)に収録されている。

虎よ、虎よ! (ハヤカワ文庫 SF ヘ 1-2)
虎よ、虎よ!
posted with amazlet at 18.07.25
アルフレッド・ベスター/中田耕治
ハヤカワ文庫
2008年

25世紀。人類にはテレポテーション(ジョウント)の能力が備わっていた。移動の能力は個人によって差があり、移動の範囲は惑星上に限られ宇宙を移動することはできないとされていた。
ジョウントにより人々の生活は激変し、古い秩序は壊れ、社会は著しく荒廃していた。
金星、地球、月、火星からなる内惑星連合と、木星、土星、冥王星の衛星からなる外衛星同盟との間で戦争が起こっていた。

火星と木星の中間地点で、戦闘艦からの攻撃を受けた、プレスタイン財閥の宇宙船《ノーマッド》が漂流していた。《ノーマッド》に、唯一生存していたのは本書の主人公ガリー・フォイル三等航海士である。
漂流して約半年がたったときに、プレスタイン財閥の輸送艇《ヴォーガ》が《ノーマッド》の近傍を航行したが、フォイルが放った信号弾を無視して飛び去っていった。
《ノーマッド》の無視を命令したのは誰なのか。フォイルはプレスタインへの強烈な復讐心を持つようになる。

《ノーマッド》をなんとか修理し地球に向かったフォイルは、火星と木系の間に広がるサルガッツ小惑星帯の野蛮民族に捕らえられ、本書のタイトルともなっている、顔全体に虎のような模様の刺青を彫られてしまう。
フォイルはサルガッツ人のロケット艇を奪って脱出し、内惑星連合の宇宙海軍に救助され地球に戻ってくる。
フォイルは苦難に遭遇するたびに、超人的な肉体と精神を兼ね備えていく。

一方、地球では、《ノーマッド》に積まれている2000万クレジットの膨大な白金と、戦争を一気に終わらせてしまうほどの破壊力を持つ物資の「パイア」を手に入れようと、フォイルの行方を追う者たちがいる。
それは、イグアナのような容貌をもつプレスタイン財閥の当主・プレスタイン、孟子の子孫である内惑星連合中央諜報局ヤン・ヨーヴィル大尉、原子爆発の事故にあい、自らが放射能を発する天才科学者のソール・ダーゲンハムの3人の怪物たちである。

物語には個性的な3人の女性が登場する。まずは、地球に帰還したばかりのフォイルにジョウント能力の再教育を施す美貌の黒人女性ロビン・ウェンズバリー。
フォイルは捕らえられ思想犯の教育施設・洞窟病院に送られるが、そこで「ささやきライン」を通じて知り合いとなり、病院からふたりで脱走することになるジスベラ・マックイーン。
そして、アルビノで目が不自由で氷の心を持つプレスタイン家の令嬢、オリヴィア・プレスタインである。

《ノーマッド》に積み込まれている2000万クレジットの白金はどうなるのか?「パイア」とは一体なんなのか?その威力は?
フォイルは、全身全霊を傾けて荒廃しきった世界を救う手段を模索するのだった。→人気ブログランキング

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