『遭難信号』キャサリン・ライアン・ハワード
アイルランドの小都市からバルセロナに出張したことになっている恋人のサラと、主人公のアダムは連絡がとれなくなった。サラの仕事仲間から、サラには別に好きな男がいて、その男と一緒ではないかというショックッキングな話を聞かされる。10年も待たせているのだ。サラは「糟糠の恋人」の境遇に嫌気がさしたのかもしれないと、アダムは猛省する。
そんなアダムの元に、サラのパスポートとともに「ごめんなさい―S」という意味深長なメモが送られてきた。
創元推理文庫
2018年6月 ✳︎✳︎✳︎✳︎
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折しも、脚本家志望のアダムが書いた作品がハリウッドで採用され、エージェントから早急にリライトを求められているという千載一遇のチャンスに、事件が起こったのだ。アダムは、エージェントからの再三の連絡を無視してバルセロナに向かう。乗客2000名の地中海クルーズの豪華客船に乗り込み、サラの消息を追う。
豪華客船の客室係としては年をとりすぎた女性の話になったり、幼児期から問題を起こし、親から見放されたソシオパスの話が出てきたりして、3つの場面を軸にストーリーは進んでいく。
国際海洋法が謎を解く鍵になっている。公海を航行する船の乗客は、その船の旗国の管轄下におかれるというもの。つまりパナマ船籍であれば、地中海で起こった事件でも、地球の裏側から捜査員がのこのこやってきて捜査するという、なんともまだるっこい法律に縛られている。
クルーズ船の評判を護るため、何か事件が起きてもたとえそれが殺人事件でも、外にもれないようにする。つまりクルーズ船での犯罪はほとんどがもみ消されるという特殊な事情がある。
いつになったら核心に迫るのか助走が長すぎる感があるが、終盤は予想外の事態が次々に起こり、ちょっとやりすぎな結末に向かう。→人気ブログランキング
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