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『アムステルダム』イアン・マキューアン

中心にいる女性と関わっていた男たちの目線から物語が語られる。
2月のロンドン、極寒の中で行われたモリーの葬儀に参列したかつての恋人たちの様子から物語は始まる。モリーは夫がいる身だが奔放だった。
恋人たちとは、イギリスの国民的作曲家のクライヴ、大手新聞社の辣腕編集長のヴァーノン、外務大臣のガーモニー。

アムステルダム (新潮文庫)
アムステルダム
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イアン・マキューアン/小山太一 
新潮文庫  2005年
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金に不自由のない出版社社長のジョージはモリーから冷たくされたが、夫として認知症が急速に進行したモリーを看取った。人々がまだモリーを見舞いたがった病気が初期の頃、ジョージは見舞客を選別した。外務大臣と同様、クライヴとヴァーノンは見舞いを許されなかった。ふたりはジョージを恨んでいる。

発行部数を伸ばすために悪戦苦闘するヴァーノン、千年紀までに交響曲を完成させなければならないクライヴ、そうした中で苦悩するふたりの日常が描かれる。クライヴはモリーのようになったら、最期は旧友のヴァーノンに看てほしいと言うくらいふたりの仲は穏当だった。

ヴァーノンはガーモニー外相のスキャンダラスな写真を手に入れる。
そもそも今の政権は長すぎて、経済的、道徳的、性的に堕落していて、ガーモニーはその象徴であるとヴァーノンは思っている。ガーモニーを政権から引き摺り下ろすチャンスである。
しかし、いくらスクープとはいえタブロイド紙の真似事をしていいのか、社内で侃々諤々の議論が起こる。ガーモニー陣営は掲載を阻止しようと手を打ってくる。
さらに写真の掲載を巡ってクライヴとヴァーノンの間に亀裂が入ってしまう。

タイトルのアムステルダムは、クライヴがミレ二アムを記念して作曲する交響曲が最初にお披露目される都市である。そこは安楽死が法的に認められているところでもある。
1998年、ブッカー賞受賞作。→人気ブログランキング

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