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『新撰組の料理人』 門井慶喜

主人公の菅沼鉢四郎は、剣の方はからっきしダメで、妻を手助けするため、離乳食を作ることで料理の腕を磨いたという、いささか強引な設定。
厨房から見た新撰組記である。

京の南半分が焦土と化した蛤御門の変(1864年8月)で、鉢四郎は妻子と生き別れになる。十番組組長の原田左之助に賄い役として新撰組に強引に入隊させられた。
被災者に薩摩藩が粥を振舞ったことに対抗して、会津藩も炊き出しをやるという。
鉢四郎は粥ではなく握り飯を振舞うことにした。大好評だったが、近藤勇は鉢四郎に切腹を命じた。握り飯はやりすぎで、新撰組が大金持ちと民に思われてしまったというのが理由。トリックの切腹で難を免れた。「新撰組の料理人」

新選組の料理人
新選組の料理人
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作者: 門井慶喜
出版社/メーカー: 光文社
発売日: 2018/5/17
メディア: ソフトカバー
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鉢四郎に嫁の消息を調べる大阪行きのチャンスが巡ってきた。過激浪士の活動拠点であるぜんざい屋に、鉢四郎が密偵として住み込むという計画。ぜんざい屋で交渉をしているうちに素性がばれて這々の体で逃げ出す。
それより、妻が船問屋の牧野屋の嫁に収まっているという、鉢四郎にとってあまりにもショッキングな現実が判明したのだ。「ぜんざい屋事件」

隊士は独り者でなければならないと言って憚らなかった原田左之助が、なんと屯所で祝言を挙げた。婚礼の宴の後、二次会で近藤と新郎たちが寺田屋に訪れた。その後も、左之助は坂本龍馬の動向を探るために寺田屋に出かける。
近藤は寺田屋に現れた龍馬を新撰組に誘ったが、返事をもらわないまま襲撃された龍馬は薩摩屋敷に逃げ込むのだった。これで龍馬は新撰組の敵になる。「結婚」

左之助の3カ月の息子がさらわれた。
左之助は子どもを可愛がらないから、自作自演ではと疑われる。隊士の中に犯人がいると鉢四郎はにらむ。さらわれた子どもを巡って、もともと仲の悪い斉藤一と左之助が斬り合ったが、犯人は意外な人物だった。「乳児をさらう」

粛清だの自己批判だので殺傷沙汰や切腹が日常的に行われる新撰組の屯所は、近くに引っ越してこられたら、これほど迷惑なものはない。はじめは壬生に、次に西本願寺社内に、そして洛南の不動村に移った。
鉄砲や大砲が戦闘の主流を占めるようになり、広い場所が必要になったのだ。剣の腕がいくら凄くとも大砲や鉄砲には勝てない。組から隊に変貌する必要がある。
そんな折、大政奉還(1867年11月)となった。2日後、会津藩より新選組に、京洛の地を引き払えという命令が下された。300名の隊士たちはとりあえず大阪の天満宮へ向かう。「解隊」
という連作短編の新撰組盛衰記。→人気ブログランキング

新撰組の料理人/門井慶喜/光文社/2018年
マジカル・ヒストリー・ツアー/門井 慶喜/角川文庫/2017年
銀河鉄道の父/門井 慶喜/講談社/2017年
家康、江戸を建てる /門井慶喜/祥伝社 2017年

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