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『緋色の研究』コナン・ドイル

1887年に発刊された、シャーロック・ホームズ・シリーズの記念すべき第1作目。
冒頭で、ワトソン医師がロンドンでホームズと一緒に暮らすに至った経緯が語られる。
第2次アフガン戦争(1878年〜80年)に軍医として出兵したジョン・H・ワトソンは、肩を射抜かれ、その後腸チフスに罹り、ひどく憔悴してイギリスに帰国した。
〈大英帝国の隅々から暇をもてあました有象無象が流れこんでくる。巨大な汚水溜めともいうべき大都会〉という状況のロンドンにホテル住まいをしていたが、軍からの給与では足りなくなり、手頃な家賃の下宿を探すことになった。

緋色の研究 (角川文庫)
緋色の研究
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コナン・ドイル/駒月雅子
角川文庫  2012年
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ワトソンは友人からシャーロック・ホームズを紹介され、「ベーカー街221B」の一軒家をふたりで借りることになった。ホームズは、鋭い観察眼をもち、バイオリンを愛し、化学実験を趣味とする博識家であり、しかも棒術・剣術、ボクシングに熟達している。スコットランド・ヤードから一目置かれ、捜査の依頼が舞い込む異才の男である。

アメリカ人男性の遺体の検分をスコットランド・ヤードから依頼されるが、気乗りのしないホームズはワトソンにせっつかれて、やっと重い腰をあげたのだ。やがて、2人目のアメリカ人男性が殺される。

舞台は殺人事件人のロンドンから、一気に、屈強な男と5歳の少女が流浪するアメリカの大平原に飛ぶ。時間も20年ほど後戻りする。乾燥地帯をさまよう2人は、西部をめざして進む1万人のモルモン教徒の大集団に助けられ、ソルトレーク・シティで暮らすようになる。

男はモルモン教の一夫多妻制を嫌った。一夫多妻は女性が足りなくなるのは目に見えている。長老に睨まれた男たちはいつの間にか殺されていなくなる。いなくなった男の妻たちは、長老の意のままに配分されるというようなことがまかり通っていた。

意に沿わないながらモルモン教徒となった男(義父)と娘の前に、若者が現れ、娘と婚約する。ところが、教祖のブリガム・ヤングは異教徒との結婚は許さないという。義父は殺され娘は無理やりモルモン教徒に嫁がされるが、1週間も経たぬうちに娘も命を落としてしまう。
異教徒の男は婚約者を死に追いやった2人のアメリカ人を追いかけて、産業革命が進むロンドンに現れたのだ。
という強引なストーリーなのだ。

本書でのモルモン教への批判は痛烈である。のちに著者はソルトレーク・シティを訪れ、モルモン教指導者と和解しているという。
ところで、『緋色の研究』というタイトルは何を意味しているのか?
〈・・・(この事件の解決は、)名づけて『緋色の研究』だな。この気取った美術用語もまんざら捨てたもではないだろう?人生という無色のもつれた糸の束には、殺人という緋色の糸もまじっている。僕らの仕事は、糸の束を解きほぐして緋色の糸をより出し、端から端までつまびらかにすることなんだ。〉というホームズの言葉からきている。→人気ブログランキング

バスカヴィル家の犬/コナン・ドイル/駒形雅子/角川文庫/2014年
緋色の研究/コナン・ドイル/駒月雅子/角川文庫/2012年

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