『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』デイヴィッド・S・キダー/ノア・D・オッペンハイム
敬虔なキリスト教徒が「寝る前に聖書を読む」ように、1日に1ページ読んでみてはどうかという本だ。かなり売れているらしい。
この手法は、ありがたい言葉を集めた日めくりカレンダーに親しんでいる日本人にとって、馴染む。フィットネスで体を鍛えたり、マラソンをしかるべきタイムで完走するためのコツコツライフは、日本人の得意とするところだ。シリーズ累計100万部売れているというから、コツコツは日本人だけの特技ではないかもしれない。
飽きさせないようにあるいは偏らないようにと、7つの異なる専門分野、歴史、文学、視覚芸術、科学、音楽、哲学、宗教を、順繰りに1週間で取り上げている。ということは、各ジャンルに約50項目が配分されることになる。執筆者2名はアングロ・サクソンと推察するが、宗教へのこだわりは並々ならぬものがある。
TVのクイズ番組で優勝するようなタレントは、きっと本書を購入しているだろう。
文響社 2018年5月
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説明は読み手に迎合せずぶっきらぼうである。例えば、「アレクサンドロス」は、日本人には「アレクサンダー大王」の方が馴染みがあるが、あくまでアレクサンドロスで通していて、「アレクサンダーと思うなら、自分で確かめな」というような素っ気ない姿勢なのだ。
1ページでは解説が物足りないところもあり、逆にページによっては解説文が短く、余白があり書き込みができる。ウィキペディアでも参照して適当に余白を埋めたらどうだということだろう。
各項目にはその事柄に関する西暦年が記されているから、松岡正剛が 勧める「クロニクル・ノート」を作るといいのではないか。「クロニクル・ノート」とは、ノートに1万年前から紀元前を経て、現代まで年号をふって おいて、年号が出てきたら、片っ端から書き込むというもの(『多読術』ちくまプリマー新書)。
では、三日坊主にならないことを祈念して、1ページ目の「 アルファベット」から始めよう。→人気ブログランキング
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