『未来を読む』AIと格差は世界を滅ぼすか
世界の知の巨人たちが未来を語る。聞き手は国際ジャーナリスト大野和基。
近未来は、トランプと北朝鮮の動向、イギリスのブレクジット、ロシアや中国の覇権主義、難民、テロなど、問題山積である。一方、遠未来は多くの人びとにとって過酷だ。科学技術の進歩が人間に明るい未来をもたらすというのは幻想であることがわかった。
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ジャレッド・ダイアモンド(1937年〜、進化生物学者、『銃・病原菌・鉄』)
「資源を巡り、文明の崩壊が起きる」
格差によってもたらされるのは、感染症のリスク、テロリズム、移民。それらが先進国に深刻なダメージをもたらすと予見する。
ダメージを回避するには、持続可能な経済を作れるか、世界の生活水準が一定レベルの平等を達成できるかにかかっている。
ユヴェル・ノア・ハラリ(1976年〜、歴史学者、『サピエンス全史』『ホモデウス』)
「近い将来、役立たず階級が大量発生する」
今日存在する多くの職業が30年以内に消える。
今後数10年の間に核戦争のリスク、気候変動、テクノロジーによる破壊という3つの脅威に直面する。
リンダ・グラットン(1955年〜、ロンドン・ビジネススクール教授、『LIFE SHIFT』)
「人生100年時代の到来」を予見する。生き方改革を提示する。
ニック・ボストロム(1973年〜、オクッスフォード大学教授、「人類未来研究所」所長、『スーパー・インテリジェンス』)
「AI万能時代が訪れ、働き方は根本的に変革する」
AIが人間と同等あるいはそれ以上の知能を持った時に何が起こるか。
ダニエル・コーエン(1953年〜、フランスを代表する経済学者、『経済成長という呪い』)
1870年から1970年に起きたテクノロジーは中産階級にも恩恵を広くもたらした。新しいテクノロジーの恩恵を受ける人はわずか。それは経営者や投資家。テクノロジーこそが格差を生み出す根元になっている。
ウィリアム・J・ペリー(1927年〜、クリントン政権の国防長官、『核戦争の瀬戸際で』)
北朝鮮の非核化は実現しない。偶発核戦争は起こり得る。
ジョーン・C・ウィリアムズ(カリフォルニア学労働生活法センター初代所長、『アメリカを動かす「ホワイト・ワーキング・クラス」という人々 』)
アメリカ人の53%を占める中流階級を、「ホワイト・ワーキング・クラス」と定義する。その中産階級にいる白人が不満をもった。トランプが大統領になって、アメリカ人は社会的階級の影響についてその重要性にやっと気づいた。
ネル・アーヴィン・ペインター(プリンストン大学名誉教授、『白人の歴史』)
「アメリカは分極化の波にさらされる」
オバマが大統領になったことで、白人中間層は差別される側になったと感じた。
その考え方がトランプを大統領にした。→人気ブログランキング
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