日曜日の午後はミステリ作家とお茶を ロバート・ロプレスティ
主人公のレオポルド・ロングシャンクスは50歳のミステリ作家。
「事件を解決するのは警察。ぼくは話をつくるだけ」と言いつつ、警察の捜査にしばしば口を出し、ある時は警察に制され、ある時は見事な推理を披露する。そして警察とのやりとりのなかに、作品に使えそうなギミックがないかとアンテナを張っている。
シャンクスの妻コーラはロマンス作家として売り出したばかり。結婚20年目で、適度に仲が良くジャブ程度の軽い嫌味を言いあう。
安楽椅子探偵ものあり、事件の推移を見物するだけのものあり、ショートショートあり、深刻でない内容の牧歌的な14の短篇からなるコージーミステリである。
![]() ロバート・ロプレスティ/高山真由美 創元推理文庫 2018年 |
「シャンクス、昼食につきあう」
シャンクスはロマンス作家としてデビューしたコーラの雑誌インタビューに同席する。インタビューは当たり障りのない内容で進み、カフェの窓の外では詐欺事件が起こり、警察がやってきて犯人が逮捕される。
「シャンクスはバーにいる」
ミステリ作家のコンベンションで、素人作家が酒をおごるから謎を解いてくれと数人の作家に持ちかける。議論百出し、シャンクスが誰も使ったことのないギミックを語る。
「シャンクス、ハリウッドに行く」
誤認逮捕された知り合いを助けるためにハリウッドに乗り込み、事件の謎を解く。
「シャンクス、強盗にあう」
強盗に財布を盗まれたシャンクスは、凝りに凝った罠で犯人を撃沈させる。
「シャンクス、物色してまわる」
シャンクスが住む住宅街の車上荒らしが捕まる。盗品のマシンピストルがどこの家の車から盗まれたのかシャンクスが推理する。
「シャンクス、殺される」
ミステリファンが集うイベントで起きた『マルタの鷹』の初版本紛失事件。
「シャンクスの手口」
ATMから金を引き出そうとした男のキャッシュカードが機械に飲み込まれる謎を解く。
「シャンクスの怪談」
シャンクスは 先達の文章をオーディブック聴き体に染み込ませ、文章をひねり出した。それが盗作だと電話の主は言う。電話の主は先達のゴーストライターだった。
「シャンクスの牝馬」
馬の誘拐事件。
「シャンクスの記憶」
シャンクスは町の建物の前の状態も前の前の状態も、上書きされずに覚えているという特技を持っている。その記憶力が強盗逮捕に役立つ。
「シャンクス、スピーチする」
出身大学の図書館で殺人事件が起き、寄贈したジャンクスの本がなくなった。
「シャンクス、タクシーに乗る」
シャンクスはタクシーの運転手に妻の善意を気づかせる。
「シャンクスは電話を切らない」
ウィンドウズの技術サーポートから、マルウェアに感染してると電話で言われ、パソコンの遠隔操作を促されるが、シャンクスは詐欺と気づき撃退する。
「シャンクス、悪党になる」
シャンクスは資産家の未亡人の夫の座を狙う男に忠告する。→人気ブログランキング
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