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『未必のマクベス』早瀬 耕

急速に成長を遂げたIT系企業のジャパン(J)プロトコルに勤務する中井優一は、東南アジアの主要都市に交通系ICカードを普及させる仕事に携わっていた。優一は高校の同級生で同僚の伴浩輔とともにバンコクでの商談を成功させた。優一は娼婦から「あなたは、王として旅を続けなくてはならない」と告げられ、その後ことあるたびにこの言葉を思い出すことになる。

未必のマクベス (ハヤカワ文庫JA)
未必のマクベス
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早瀬 耕
ハヤカワ文庫JA
2017年 ✳︎7

商談を成功させたものの、優一は香港(HK)プロトコルのCEOに出向させられる。HKプロトコルは仕事らしい仕事は何もない、幽霊会社である。優一が手に入れた極秘文書には、HKプロトコルの歴代COEの悲惨な最期が書かれていた。それは行方不明や自殺である。
優一はJプロトコルに対して自分がスケープゴートにされるかもしれないという恐怖を抱くようになり、周りの人間が信用できなくなる。

そんなおり、高校の同級生だった鍋島冬香が優一に宛てたUSBを入手する。
冬香は高校卒業後、大学の数学科に進み、新鋭の数学者として香港大学の准教授となっていた。そしてHKプロトコルで暗号を担当していたが、暗号解読キーに関わるミスで会社から命を狙われるようになった。冬香は優一にJプロトコルを潰して欲しいと訴えていた。そして優一に安全な場所に行くまで誰も信じてはならないと忠告した。卒業以来、優一は冬香を1日たりとも忘れたことはなかったのだ。

優一は殺られる前に手を打とうと、危うい手を使ってHKプロトコルに莫大な利益をもたらす。さらに、自分と冬香の身を守るために大胆な行動に出る。

本書は『マクベス』のストーリーが幾度か語られる。
そのあらすじは、マクベスとバンクォーは反乱軍との戦いで勝利を収める。マクベスは夫人と共謀して王を殺害し王位に就くが、精神的な重圧に耐えきれず暴政を行い、バンクォーを暗殺する。夫人は狂って死に、マクベス自身はバンクォーの家臣らの復讐に倒れる。魔女たちが狂言回しの役割をして物語は進み、マクベスは魔女たちの予言に振り回される。
ここで、『マクベス』の登場人物に、本書の登場人物を当てはめてみる。マクベスは中井優一、バンクォーは伴浩輔だろう。魔女は優一に予言めいたことを囁いた娼婦だ。では、マクベス夫人は誰なのか?それは最後の最後に明かされる。→人気ブログランキング

→『マクベス』W・シェイクスピア

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