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『進化の法則は北極のサメが知っていた』渡辺佑基

生命活動は化学反応の組み合わせであり、したがって生物の生み出すエネルギーの量は熱力学の法則によって決定される。本書の目的は、体温という物理量がどのように生物の姿や形や生き方を規定しているのかを探ることである。

著者は調査しようとする動物を捕獲し、カメラと記録計を取り付け、のちにそれらを回収して分析するバイオロギング調査を行った。

 

進化の法則は北極のサメが知っていた (河出新書)
渡辺佑基
河出新書 2019年2月 ✳8
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北極の海に暮らす大きな変温動物のニシオンデンザメはのろのろと泳ぎ、2日に1回獲物を追いかけ、なおかつ寿命400年という脅威的なスルーライフを送っていた。
南極に暮らす恒温動物のアデリーペンギンは体温を保つために、ものすごい勢いで獲物を食べ、エネルギーを燃やし続けていることを明らかにした。
オーストラリアの海に暮らす中温動物のホホジロザメは魚類としては例外的に活発でありながら、アデリーペンギンとニシオンデンザメの中間的lな生活スタイルを持っていることを発見した。これら一見バラバラに見える3つの事柄は代謝という地下水脈でつながっているという。

低体温はあらゆる種類の生命活動を鈍化させる。体温が下がるほど動物の運動能力が鈍り、代謝量が下がり、食べ物の要求量が減る。それだけでなく新しい細胞の生産ペースが鈍るので、成長が遅くなって寿命が伸びる。
また、あらゆる種類の生命活動は体温が上がるほど活発になる。

ここで、ジェームス・ブラウンの説が登場する。
体の大きさと体温が決まれば、生物が生物として生きるペースが決まり、それによって生物の運動能力や生活スタイルや成長速度が決まる。進化のスピードや生態系の多様ささえ決まるというもの。

地球上で起こっている生命現象のすべてを包み込む汎用性をもった代謝量理論は、ダーウィンの自然選択理論に匹敵する意味合いをもつ、生物学の新たな金字塔であると著者は力説する。→人気ブログランキング

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