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2019年6月24日 (月)

魏志倭人伝の謎を解く 三国志から見る邪馬台国 渡邉義浩

古代中国史に精通した著者が、当時の政治情勢のなかで魏志倭人伝を読み解いているのが、本書の特徴である。
『三国志』は、陳寿というその時代に生きた人物が、3世紀の約60年間について書いた歴史書である。『三国志』の『魏志』『呉志』『蜀志』の三部作のうち「巻30 東夷伝」の一部に、倭人について書かれたところがあり、倭人伝とされているのである。東夷伝の国のなかで、倭人に関する部分が最も字数が多く、1913字が費やされている。
陳寿が魏国を慮って書いた部分と、実際に倭人と接した使者の報告の部分があるという。陳寿が書いた部分については、政治的な意図が込められている。
Image_20210211091801魏志倭人伝の謎を解く- 三国志から見る邪馬台国
渡邉 義浩
中公新書
2012年

偉人伝の概要を次のようにまとめている。
1.倭と諸国の道程
帯方郡(朝鮮半島の中部)から邪馬台国に至る道程、国ごとの官名・戸数・概要が記されている。さらに卑弥呼の支配下にある国名が列記され、対立する狗奴国の記述もある。
2.倭国の地誌と政治体制
入れ墨(鯨面・文身)から衣服・髪型・織物に始まり、鳥獣・武器・衣食・葬儀・占い・寿命・婚姻といった倭国の地誌と、統治機構・刑罰・身分秩序などの政治体制、および倭の地全体の地理が記載される。
3.朝貢と回賜および制書
景初三(239)年に始まり正始八(247)年に至る、倭国からの4回の朝貢と曹魏の対応、および卑弥呼を親魏倭王に封建する制書が記載される。

東夷伝の韓の条に、北部の国々の者たちは、いささか礼儀や慣わしをわきまえているが、郡から遠く離れたところに住む者たちは、まったく囚徒や奴婢が集まっているような状態であるとある。さらに、特別な珍宝を産出しない。禽獣も草木もほぼ中国と同じであるとしている。韓に対する記述は手厳しい。

一方、倭国に対しては他国の記述に比べ、好意がみられるという。
倭の地では冬でも生野菜を食べる。倭の人は長寿である。真珠や翡翠を産出する。倭国は朝貢に適した物産の豊富な国と位置付けられている。
魏にとって倭国から朝貢にくることは、覇権がはるか遠方にまで及んでいることであり悦ばしいことなのだ。魏にとって頭が痛いのは、卑弥呼が邪馬台国を治めきれなくなり、さらに邪馬台国と狗奴国とのあいだがうまくいかないことである。→人気ブログランキング

魏志倭人伝の謎を解く』渡邉義浩 中公新書 2012年
倭人伝を読みなおす』森 浩一 ちくま新書 2010年

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